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天使について試論

by: 伊藤なむあひ

ポップな実験小説から始まり、幻想、SF、奇想とゆっくりと移動を続ける小説家・伊藤なむあひの9年間における集大成的作品集
2021年から2022年に書かれた最新作品8作品に、2013年から2020年までに発表した自作のなかから一部改稿/改題したものを含める6作品を加えた計14作品を収録

「奇想/SF作品集『天使についての試論』
01 跳ぶ死
02 空気海苔は有機袋の夢を食うか?
03 知る人
04 五人めはミルクを入れない
05 町の脳髄
06 鏡子の故郷は虚構の故墟
07 天使についての試論
08 暴力はすべてを破壊する
09 函館には続かない道
10 あなたは夜だけの本
11 天使のマーチャン・ダイジング
12 光を飼う
13 星に(なって)願いを
14 四十九パラグラフにも及ぶリロの素晴らしき生涯」
幻視の世界に生きる作者の作品に触れるのにうってつけな、オールタイムベスト的な作品集になっています

¥1,267
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人格OverDrive 2024年刊 四六判 169ページ

著者自身による解説(twitterから転載)

紹介する人:伊藤なむあひ

1. 跳ぶ死

わたしたちが観測しているというものを生命の終わりとしてではなく意志のある存在として描いた実験的な掌編

東京都江戸川区にある木造アパートから、 『ぽーんぽーんと跳んでいきさまざまな生き物の元を訪れる様子をユーモアを含んだナレーション風の語りで綴っています

2. 空気海苔は有機袋の夢を食うか?

空気海苔がステージに立ち

空気海苔が居酒屋で打ち上げをし

空気海苔が野球をし

空気海苔が囲碁を打つ

そんな空気海苔が埼玉県南部にあるスナックニューかみさまお供も付けずに!訪れた理由とは⋯⋯奇想 /SF を謳うのに相応しい新境地的短編小説

3. 知る人

未来の学校をテーマとした短編小説少し先の未来校舎が学校の象徴としてオンライン授業の背景用フリー素材でしか見ることのなくなった世界

人工言語が世界の共通語となり校舎が存在しなくなった世界で学校がどうなっていくのかを描いたこれまでで一番 SF に接近した作品

4. 五人めはミルクを入れない

三人の少年がおかしな死に方をした一人目は両方の足が右足になって死んでいた二人目は本名がAになって死んでいた三人目は真っ白い光に包まれた部屋で死んでいたそして全員が凍死だった

雪女であり殺人犯でもある姉をもつ奇妙でほろ苦い青春譚

5. 町の脳髄

村や町市や県といった人が暮らす場所的な意味での大きな括りというのはなんだか生き物みたいだなと思ったことから書かれた掌編

それ自体に意志があるのかも?じゃあ土地とそこに暮らす存在とはなんなのだろう?という発想を膨らませていったらできた少し不思議な話

6. 鏡子の故郷は虚構の故墟

私立図書館で行われていた絵本の読み聞かせ本の世界の中で彼は鏡子ちゃんに出会う彼女を探すうち彼は鏡子ちゃんが美しい物語にしか現れないことを悟る彼は鏡子ちゃんを追うようにあらゆる小説を読み始めた

(「鏡子ちゃんに美しい世界より改題改稿

7. 天使についての試論

北海道胆振地区伊達町に落ちてきた一羽の天使正確には天使と呼ばれるこれまでの地球上では確認されていなかった生物)。 その生態と人類との歴史野良天使といった天使と人類との間に起きた問題そして 2024 年に起きた例の現象を試論という形にまとめた文章

8. 暴力はすべてを破壊する

下半身露出男と陰部切断女本場イタリアで修行を重ねた葬儀屋生のドラえもん肉宇宙かつて人間は腸を裏返したものだった⋯⋯

この奇怪な小説の中で語られることは一つです文中で何度も繰り返されるように暴力はいけません暴力はすべてを破壊するのですから

9. 函館には続かない道

小学生 3 年生の僕の前に現れたのは足の裏を舐めることで人を占うおじさんだった

伊達町が舞台となった限りなく私小説に近い短編小説僕は今でもたまにあのおじさんの舌の感触を思い出しては奇妙な気持ちになる

(「函館へ行くのにうってつけの日を改題改稿

10. あなたは夜だけの本

冒頭にY・Y に捧ぐとあるようにこれも実体験をベースにして作られた短編小説

もう二度と会うことがない人へ向けた小説を書くのは僕のエゴでしかないけれどどうしても書かずにはいられなかった作品何度も書いては消していたものをようやく形にして発表できました

本や映画に”なる”っていうのはどういう感じなんだろ僕ならまだ誰にも読まれていない本になりたいかなあ

11. 天使のマーチャン・ダイジング

スーパーの入り口に立つ専用の棒に天使が刺さっておりそれは本日ポイント五倍デーを意味するという奇妙な冒頭から始まる掌編小説

天使についての試論ともゆるい繋がりがありこれを書くことで自分のなかの天使というものが明確になった掌編の代表作

12. 光を飼う

アルバイト先のビルの前にある水たまりそこに映る朝の光があまりに綺麗で彼女はそれをホゾと名付け両手で掬い自宅に連れて帰った

彼女の家でどんどん大きくなるホゾいくつかの喪失を経て彼女とホゾの関係は決定的に変化してしまうファンタジーを含む少し不思議なお話

13. 星になって願いを

ダンスホールの片隅にてバラバラになってしまったかわいそうな少女パピ子パピ子の最後の願いをのせて彼女の住む町に小さな流れ星が落ちた

その瞬間願った者たちの元に彼女は静かに現れるそしてさまざまな形でその願いと対峙していく

14. 四十九パラグラフにも及ぶリロの素晴らしき生涯

小説のなかに切り取られた誰かの人生にはそれ以外の膨大な時間があるはずそんな思いから書くことになった 1 パラグラフ=一年の”誰か”の生涯

作品集に入れずずっと単独で存在していたものを今回ようやく本作品集のトリに収録できました⋯読んで!

(2022年04月17日)

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伊藤なむあひ

小説家。北海道生まれ。パンと猫と音楽が好き。幻想と怪奇7に短編小説「天使についての試論」掲載。anon pressに「偏在する鳥たちは遍在する」、小説すばる2022年11月号にフラッシュフィクション「合法的トトノイ方ノススメ」掲載。奇想/SF作品集『天使についての試論』(単著)発売中。主に縁起が悪い小説を書いています。
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伊藤なむあひ 認証
@namuahi@ezdog.press

北海道生まれの小説家。音楽と猫とパンが好き。第1回BFC本戦出場。掲載実績に「天使についての試論」(新紀元社『幻想と怪奇7』)、「偏在する鳥たちは遍在する」(anon press)、「合法的トトノイ方ノススメ」(集英社『小説すばる11月号』)、「夢街奇譚」(『夢でしかいけない街』)、「ひとっこどうぶつ」(Kaguya Planet)、「椿桃、永遠に」(『文芸ムックあたらよ創刊号』)、「Axe to Fall」(零合舎『零合 第二号』)など多数。