特集: 連載作品
CLOUD 9
杜 昌彦
AIがひとびとの行動を操り戦争へと駆り立てる未来。過去の遺伝情報から再現された逃亡兵のMはひょんなことから1960年のハンブルクへ。のちに音楽で世界を救うことになる不良少年たちに出逢う。敵に捕らえられたMは命と引き換えにかれらの解散を防ぐ使命を与えられる。世界滅亡を望む勢力からMはかれらを守り通すことができるのか——? だれもが一度は夢想しながら書かれることのなかったSFエスピオナージュ!
読んだ人: 杜 昌彦
バラクーダ・スカイ
イシュマエル・ノヴォーク
『☆』で読書家の話題をさらったインディ文学の巨匠、イシュマエル・ノヴォーク最新長篇!
ヴェトナムの悪夢から大麻とおふざけに逃避する作家、ジェイクは腐れ縁の元恋人ステイシーから実家に帰る話を切り出され、無関心を装いながらも落ち着かない。偉大な父を追うあまり家庭を顧みないテキサスの保安官代理、エミールは失敗した結婚から逃げるように無茶をやり、妻ばかりか息子の愛まで失いかねない有様。護送中に逃亡した囚人を追い、カリフォルニアを訪れたエミールは傷心のステイシーと出逢う。一方、クラブを焼かれたギャングが落とし前をつけるべく囚人に刺客を差し向け、不運にもジェイクは騒動に巻き込まれる……。人生を繋ぎ止めるために作家は書き、保安官はレンジャーになることに固執する。男らしさに翻弄されるふたりの人生が、虹色スペクトルのパレードで交差する!! 80年代カリフォルニアを舞台に展開されるオフビートな物語。
読んだ人: 杜 昌彦
書写という趣味
28(にわ)
文字と文房具、作家たちの言葉……noteで『捨てるための日記』を連載中の28(にわ)ノ烏さんこと28(にわ)さんが導く書写の世界。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
☆
イシュマエル・ノヴォーク
『コロナの時代の愛』の鬼才、イシュマエル・ノヴォーク待望の最新長編!
ウォルマートのレジ係、マーガレット・ホットフィールドは一ヶ月前に母を亡くして天涯孤独。ある昼下がり、アパートを訪れた弁護士に、逢ったこともない父の存在を告げられた。1971年にパリのアパートで客死した伝説のロックバンド〈パーセプション〉の歌手、ダグラス・ハイドパークの血をマーガレットが受け継いでいるというのだ。運命に導かれるがごとく契約書に署名した彼女は、ヌンチャクを手にしたトンボ眼鏡のアフロファンキーDJ、全裸で空から降ってきたプレスリーのそっくりさん、写真家にして弁護士のトランスジェンダーといった奇妙な仲間たちと珍道中を繰り広げながら、血と音楽のルーツを求めて冒険の旅に出る……70年代にオーバードーズで死んだ伝説のロック歌手を巡る、抱腹絶倒、ワチャワチャでハチャメチャなドタバタ劇!
読んだ人: 28(にわ)
目に映らない愚か者
柳楽 馨
研究者であるための必要条件は、批評家であることの十分条件ではない。今日、批評は大学に対して微妙な距離を保ちにくくなっている。こうした「自由」な学問によって見え難くなる権力こそ、今日の「批評」の標的となる……『裏切り者へ愛をこめて:阿部和重論』で反響を呼んだ『インフィニット・ジェスト』翻訳者、柳楽馨による批評の批評。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
GONZO
杜 昌彦
姫川尊の噂をするとき、わたしたちが浮かべる表情は、決まって揶揄であり蔑みだった……頭のおかしい嘘つきおばさんが語る、ばかばかしくも切実なZ級BLアクション!(2021年作)
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
孤独の座標
K.G.ザムザ
橋を一つひとつ焼き落とし、かつての自分を葬って生きてきた。時どき、自分が過去も未来もない空間を漂っているような気持になる……都会の夜を漂う思考の記録。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
裏切り者へ愛をこめて:阿部和重論
柳楽 馨
阿部和重に芥川賞をもたらした『グランド・フィナーレ』の宣伝文句を、私はよく覚えている。「文学が、ようやく阿部和重に追いついた」。しかし、「批評」が阿部に追いついていない。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
コロナの時代の愛
イシュマエル・ノヴォーク
「色んな人に会った。色んな経験も。変わったことは沢山あるように思うけれど、そうでもない気もする」……1950年代のサウス・ブロンクス、1960〜1990年代のエル・パソ、同時多発テロから数年後のイングルウッドとニューヨーク。さまざまな時代を舞台に、自由に、クスっと笑えるジョークをまじえて描く土地と血の物語。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
デヴィッド・フォスター・ウォレス『インフィニット・ジェスト』翻訳日誌
柳楽 馨
アメリカの作家デヴィッド・フォスター・ウォレスは、私がその名前を耳にしたとき既に死者だった。そのとき私が考えていたのは、たぶん、私には一生いわゆる「小説」は書けないだろうが、それでも小説を離れて生きることもできないだろうということだった……。大長編『インフィニット・ジェスト』(Infinite Jest, 1996)の翻訳を巡る思考の冒険。
読んだ人: 杜 昌彦
ぼっちの帝国
杜 昌彦
「正しさ」の押しつけは、もういらない。
コールセンター勤務の明日香はささいな揉めごとから28歳にして無職に。彼氏のはずの年下男にはほかに彼女がいて、アパートは取り壊され帰る場所もない。ひょんなことから昭和モダン建築アパートの住み込み管理人となった明日香だが……。笑いあり涙ありアクションあり、殺人事件からカーチェイスまで全部入り。生きづらさを抱えるすべてのひとに贈る、爆笑と鬱の恋愛エンターテインメント小説!(2019年作)
読んだ人: 一夜文庫
本の網
人格OverDrive編集部
本は作家や主題、影響関係でつながっています。ルーツを遡り、似たものをたぐり寄せ、影響を与えたその先へ。結節点から結節点へ、網の目を辿って世界を広げましょう。
読んだ人: 杜 昌彦
血と言葉 逆さの月 崖っぷちマロの冒険
杜 昌彦
『血と言葉』(『悪魔とドライヴ』改題)
県警本部長の娘、海堂ちありは援助交際の男に連れられて訪れた店で、カウンターに立つ国語教師、辻凰馬に激しく惹かれる。ちありの小説は波紋を呼び……。異色の恋愛小説!(2016年)
『逆さの月』
あたし渡辺聡美、17歳。悪友たちのおかげで今日も二日酔い。携帯電話がまだふたつ折りだった頃。ツインタワーが倒壊する少し前。あたしと幸田と春ちゃんはだれとも違うあたしたちだけの時間を生きていた……。恋を恋と認めない語り手による青春サスペンス。(2001年)
『崖っぷちマロの冒険』
僕は世界の忘れられた子。照らし出しては殲滅する——放課後に呼び出された11歳の僕が見たものは、中指を立てて木に縛りつけられたお嬢の屍体だった! 自伝的習作。(2002年)
別名義でベストセラーとなった代表作『血と言葉』に初期中篇二作を併録。
読んだ人: 28(にわ)