特集: エッセイ・随筆・日記
書写という趣味
28(にわ)
文字と文房具、作家たちの言葉……noteで『捨てるための日記』を連載中の28(にわ)ノ烏さんこと28(にわ)さんが導く書写の世界。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
きれいな言葉より素直な叫び
新井見枝香
舞台がある限り、そこに立ち続ける。本を届け、文章を綴り、今日も踊り続ける。お客を楽しませたいと必死になるのも、結局は自分の気持ちのためなのだ。踊り子を応援する人たちもまた、突き詰めれば自分のためではないだろうか。できればそうであってほしい。裸になってステージから見えたものは、客席に座る人たちだ。こちらに目を向けているということそのものが、私には素直な叫びに思えてならない。キラキラとした嘘ばかりの世界で、それだけが信じられる。書店員、エッセイスト、踊り子、三足の草鞋を履く著者による「生きづらさ」を原動力に書き綴ったエッセイ集。
読んだ人: 一夜文庫
目に映らない愚か者
柳楽 馨
研究者であるための必要条件は、批評家であることの十分条件ではない。今日、批評は大学に対して微妙な距離を保ちにくくなっている。こうした「自由」な学問によって見え難くなる権力こそ、今日の「批評」の標的となる……『裏切り者へ愛をこめて:阿部和重論』で反響を呼んだ『インフィニット・ジェスト』翻訳者、柳楽馨による批評の批評。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
瀕死の双六問屋
忌野清志郎
1998年11月~2001年4月にかけて『TV Bros.』(東京ニュース通信社)で連載され、キヨシローが、「俺が唯一(絵本以外で)というくらい、まじめに(ゴーストライターやインタビューおこしではなく)自分で書いた」(「あとがき」より)と語る、「瀕死の双六問屋」を加筆修正した本書は、「理想郷」である「瀕死の双六問屋」で暮らす男が縦横無尽に音楽への愛、社会への怒りを語り尽くすというサイケな作品。君が代、憲法、自殺問題、さらには反核・反原発曲の収録問題を理由としたレコード発禁事件等々エピソードは多岐に亘り、10年以上の時を経ても、その文章はサイコーにクールでホット!
読んだ人: 杜 昌彦
書こうとするな、ただ書け──ブコウスキー書簡集
チャールズ・ブコウスキー
わたしは作家になろうと必死で努力していたわけではなく、ただ自分がご機嫌になれることをやっていただけの話なのだ。
「自分がどうやってやってこれたのかよくわからない。酒にはいつも救われた。今もそうだ。それに、正直に言って、わたしは書くことが好きで好きでたまらなかった! タイプライターを打つ音。タイプライターがその音だけ立ててくれればいいと思うことがある。」(本文より) カルト的作家が知人に宛てた「書くこと」についての手紙。その赤裸々な言葉から伝説的作家の実像と思想に迫る、圧倒的な書簡集。
読んだ人: 杜 昌彦
ジョー・グールドの秘密
ジョゼフ・ミッチェル
「やつの名はジョー・グールド、世界の歴史上、一番長い本を書こうとしてる男です」
ある日、目の前に現れたのは、風変わりなひとりの老人。出会いが作家の人生と、その作品を変えてゆくーーニューヨークの路地裏に生まれ、今なお、輝きを放つノンフィクションの傑作。ミッチェルの語りを存分に楽しめる、マンハッタンを舞台にしたノンフィクション短編と、彼の最高傑作とうたわれた「ジョー・グールドの秘密」を収録。ジョゼフ・ミッチェル作品集、完結!
読んだ人: 一夜文庫
孤独の座標
K.G.ザムザ
橋を一つひとつ焼き落とし、かつての自分を葬って生きてきた。時どき、自分が過去も未来もない空間を漂っているような気持になる……都会の夜を漂う思考の記録。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
裏切り者へ愛をこめて:阿部和重論
柳楽 馨
阿部和重に芥川賞をもたらした『グランド・フィナーレ』の宣伝文句を、私はよく覚えている。「文学が、ようやく阿部和重に追いついた」。しかし、「批評」が阿部に追いついていない。
読んだ人: 人格OverDrive 編集部
デヴィッド・フォスター・ウォレス『インフィニット・ジェスト』翻訳日誌
柳楽 馨
アメリカの作家デヴィッド・フォスター・ウォレスは、私がその名前を耳にしたとき既に死者だった。そのとき私が考えていたのは、たぶん、私には一生いわゆる「小説」は書けないだろうが、それでも小説を離れて生きることもできないだろうということだった……。大長編『インフィニット・ジェスト』(Infinite Jest, 1996)の翻訳を巡る思考の冒険。
読んだ人: 杜 昌彦
英雄なんかどこにもいない
チャールズ・ブコウスキー
ブコウスキーのすべてが濃密につまった奇跡の一冊。つねに社会を挑発し、不穏なまでに暴力的で、あらゆることを嘲り、当然ながらおそろしく不敬。しかし、それはいっぽうで恐怖や孤独あるいはコンプレックスを抱えながら生きていくひとつの術でもあった。あらゆる小さなものたちへの愛を忘れずに生きたアウトローが私たちに遺した反骨と慈愛にみちた悲しくも美しい珠玉の39編。
読んだ人: 杜 昌彦
ブコウスキー・ノート
チャールズ・ブコウスキー
激動の60年代。66~67年にロサンジェルスのアングラ新聞『オープン・シティー』に書いたコラムから40篇を収録。小説あり、エッセイあり、ルポあり、自伝あり。ブコウスキーの姿がよく表れた1冊。
読んだ人: 杜 昌彦
ブコウスキーの酔いどれ紀行
チャールズ・ブコウスキー
テレビに出れば泥酔して共演者を怒らせ、朗読会を開けば聴衆に罵られ、ホテルで騒いで叱られる。家に帰りたいとゴネながら、毎日が二日酔い。伝説的カルト作家による、酔いどれエピソード満載の紀行エッセイ。人生を嘆き悲哀を滲ませるブコウスキー節が全開。本人の貴重な写真や詩も多数収録し、ブコウスキー文学のエッセンスがぎっしり詰まった一冊。
読んだ人: 杜 昌彦
パンク、ハリウッドを行く
チャールズ・ブコウスキー
呑んだくれ詩人である著者の分身・チナスキーが、ハリウッドで映画作りのまっただ中へ…。赤裸々な自己の人生を重ね合わせた、破天荒で奇抜、軽妙にして含羞に富む映画製作物語。
読んだ人: 杜 昌彦
死をポケットに入れて
チャールズ・ブコウスキー
老人力全開!ブコウスキー、最晩年の痛快日記。老いて一層パンクにハードに突っ走るBUKの痛快日記。五○年愛用のタイプライターを七○歳にしてMacに変え、文学を、人生を、老いと死を語る。カウンター・カルチャーのヒーロー、R・クラムのイラスト満載。
読んだ人: 杜 昌彦
ワインの染みがついたノートからの断片
チャールズ・ブコウスキー
酒、競馬、セックス、そして詩…。これが本当のハードボイルド。正気と狂気のあわいで、孤独と怒りを抱えて、暴力と放浪の日々をすごした男が、唯一無二のことばで、ときにパンクにときにやさしく描きだす、社会の片隅で生きる者たちの物語。
読んだ人: 杜 昌彦