どこに転がっていくの、林檎ちゃん
ISBN: 9784480435576

どこに転がっていくの、林檎ちゃん

元オーストリア陸軍少尉ヴィトーリンは、大戦中に捕虜収容所の司令官セリュコフに受けた屈辱が忘れられず、復讐のためロシアへと舞い戻った。革命後の混乱のなか、姿を消した仇敵を探して旅を続けるヴィトーリン。ロシアとヨーロッパを股にかけた壮大な追跡行の果てに彼を待っていたものとは…。冒険に次ぐ冒険、若き日のイアン・フレミングが「天才的」作品と絶賛した、レオ・ペルッツの傑作。

¥ 1,026
筑摩書房(文庫: 2018-12-11)
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著者:レオ・ペルッツ

(1882年11月2日 - 1957年8月25日)オーストリアの作家。『第三の魔弾』(1915)、『ボリバル侯爵』(20)、『最後の審判の巨匠』(23)、『スウェーデンの騎士』(36)など、幻想的な歴史小説や冒険小説で全欧的な人気を博した。1938年、ナチス・ドイツのオーストリア併合によりパレスティナへ亡命。戦後の代表作に『夜毎に石の橋の下で』(53)がある。1957年没。

2019.
07.19Fri

どこに転がっていくの、林檎ちゃん

書名とタダジュンさんの装画につられて購入し、大昔の娯楽小説だからと期待せずに読んだのだが予想外におもしろかった。前回、前々回に取り上げた現代の娯楽小説よりずっといい。後半など思わず夢中になって一気に読まされてしまった。娯楽小説だけあって、結末はこの手の話なら当然こういうオチになるよねという展開なのだが、それにしたってあるいはこの小説が「よくあるパターン」の原型なのかもしれない、読書家ではないのでしらんけど。そしてその当然の結末がすごくしっくりくる。全体の構成が練られていて無駄がないからだ。必然的にそうあるべきだと感じさせられる。無駄がないから短く、だからこそ一気に読み終えたのだけれど、戦闘シーンや混乱した社会の描写は、たかだか十年しか経たぬうちに書かれただけあってリアリティがある。いまそこに実際にいて熱や寒さや臭いや湿気や痛みを感じるかのようだ。イアン・フレミングが熱狂的なファンレターを思わず書いたという逸話もむべなるかな。惜しむらくは大昔の娯楽小説だけあって最後まで読んでも主人公がどんな人物なのかよくわからなかったりもするが、まぁそれはそれ、そんなことをいえばジェームズ・ボンドものなんていま読み返せばあくびがでるし、あくびがでるような古めかしいスパイ小説と較べれば、この活き活きとした波瀾万丈の物語は、較べたら失礼になるくらい古びない。この時代のロシアの話、ナボコフとブルガーコフをたまたま続けて読んだので、ちょっと関心がわいた。中高生時代、もうちょっと真面目に世界史を勉強しとけばよかったなぁ。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『逆さの月』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。最新恋愛小説『ぼっちの帝国』連載中。
ぼっちの帝国

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