家族のために 「幻覚を信じるのをやめようと決心する」 ってくだりがあった。 なるほど新境地だ。 これまでのキャリア全否定。 『黒い時計の旅』 『X のアーチ』 の二作がおれにとって彼の最高傑作で、 近年の作品はだらだらと同じことを繰り返してるように思えたので、 この転換には感銘を受けた。 それでいて一貫したテーマ、 理念としての 「アメリカ」 は健在で、 それを幻視に頼らず、 身近でローカルな 「家族」 に求めるのがよかった。 これまでにないユーモアも頬を緩ませる。 横尾忠則による装幀のハードカバーじゃなく最初から文庫ってのも、 読書体験に影響するので結果的に正解かもと思った。
ASIN: 4480432981
きみを夢みて
by: スティーヴ・エリクソン
マジックリアリズム、SF、純文学を越境する作家の最新作、本邦初訳!『ロサンジェルス・タイムズ』紙2012年最優秀作品賞受賞。作家ザンと妻ヴィヴは、エチオピアの少女シバ(ゼマ)を養子にする。少女の母親を探す旅に出るヴィヴ。作家の自伝的体験、人種問題、アメリカの歴史が交錯し、「小説内小説」とポップ・ミュージックが絡む独自の世界が全開!
¥1,540
筑摩書房 2015年, 文庫 464頁
特集: 家族
※価格はこのページが表示された時点での価格であり、変更される場合があります。商品の販売においては、購入の時点で Amazon.co.jp に表示されている価格の情報が適用されます。
読んだ人:杜 昌彦
(2015年11月02日)
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
『きみを夢みて』の次にはこれを読め!