偶然の音楽
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偶然の音楽

妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。すべてを捨てて目的のない旅に出た彼は、まる一年赤いサーブを駆ってアメリカ全土を回り、〈十三カ月目に入って三日目〉に謎の若者ポッツィと出会った。〈望みのないものにしか興味の持てない〉ナッシュと、博打の天才の若者が辿る数奇な運命。現代アメリカ文学の旗手が送る、理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語。

著者:ポール・オースター

(1947年2月3日 -)米国の作家・詩人・映画監督。彼の作品はニューヨーク、特にブルックリンを土台にしている。1993年、『リヴァイアサン』によってフランス・メディシス賞の外国小説部門賞を受賞した。

2017.
09.07Thu

偶然の音楽

だめなほうの彼です。すでに触れましたけどオースターは超絶おもしろい本とダウナーで退屈な本を交互に書くんですね。わざとやってるんじゃないかと思うくらい。同じ作家がこうも違うのか、とびっくりした記憶があります。うまいか下手かでいえば当然うまいですよ。下手でそうなるんじゃなくて、ダウナーで退屈なのをちゃんと書くんです。逆に始末に負えない。この気分をどうしてくれる、といつもながら思います。落として落として落として、子どもの頃に読み親しんだ星新一なら、そこで大きなツイストがあるところなんですけど、ここまでやったら当然大どんでん返しが……と一縷の望みにしがみついて読みすすめていくと、ついに最後まで転換しない、救われない。普通に落ちたまま終わるんです。なんだよそれと思いますね。逆に意外でした。オースターもまたフリッツクラフトの寓話(ハメット『マルタの鷹』に出てくる乖離性遁走の男)に取り憑かれた作家ですね。日本では佐藤正午が同じ主題で名作をいくつも書いています。


杜 昌彦

(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。硬質な文体と独創的な物語で知られる。作風はアヴァン・ポップ、スリップストリーム、スペキュレイティブ・フィクションに分類される。2010年から別名義で活動。2013年日本電子出版協会(JEPA )主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。

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