マルタの鷹
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マルタの

私立探偵サム・スペードの事務所を若い女が訪れた。悪い男にひっかかり、駆け落ちした妹を連れ戻して欲しいとの依頼だった。スペードの相棒が相手の男を尾行するが、相棒も男も何者かに射殺されてしまう。女の依頼には何か裏があったのか…。やがて、スペードは黄金の鷹像をめぐる金と欲にまみれた醜い争いに巻き込まれていく―ハンフリー・ボガート主演映画で知られる、ハードボイルド小説の不朽の名作。改訳決定版。

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読んだ人:杜 昌彦

マルタの鷹

終盤の悪漢が勢揃いして部屋で会話してるだけのシークエンスが退屈になってもおかしくないのに緊張感があるんですよねこういうのは実際に犯罪者と渡り合ってたひとでなければ書けない場面だと思います正しいことをしたはずなのにそれがゆえに地獄に落ちる主人公だから冒頭であれほどまでに悪魔面だと強調されるんですねこれもまた胸を締めつけられるような罪の意識を物語に昇華した例だと思います腑に落ちない文章がひとつだけあって全編を通して客観描写なのにそこだけスペイドは見つけられなかったとか書かれてるんですよねほかの文章では見つけられない様を表情や行動や発言で描写するのにそこだけ浮いてるんですあれは謎だったなフリッツクラフトの寓話も文脈がよく理解できませんでしたその点ガラスの鍵は寓意がわかりやすいうまく表現されていたと思いますハメットは最初から巧かったわけじゃなくて仕事として請けながら書き方を憶えていった感じがあるんですよね実録ものの短編からはじめて中編に挑戦し中編を組み合わせて長編を手がけ長編の書き方を少しずつ学んでいく前作まではそのプロセスにあってこの本から刈り入れどきという印象です

(2017年09月07日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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ダシール・ハメット
1894年5月27日 - 1961年1月10日

米国のミステリ作家。厳しい客観筆致によるいわゆるハードボイルド文体を確立した代表的な人物である。ピンカートンでの探偵としての経験を生かした描写で知られる。