清水訳で20回読まないとわからなかったことが一度読めばわかるように訳してある、と当時はよろこんだものでした。でも村上訳がシリーズ化されてみると……清水訳、田中小実昌訳のよさが逆にわかるような気もしてきました。村上訳ではシリーズ中これがいちばん出来がいいですね。ちゃんとマーロウになっている。訳のことを抜きにしてもチャンドラーではこれがいちばん好きです。次点が『高い窓』『湖中の女』かなぁ。その次くらいに『さらば愛しき女よ』がきて最後が『大いなる眠り』かな。むかしは語りたいことがいっぱいあったんだけど実作で考察し尽くしたんでいまは特にいうことないです。
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ロング・グッドバイ
レイモンド・チャンドラー 著
私立探偵フィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた…大都会の孤独と死、愛と友情を謳いあげた永遠の名作が、村上春樹の翻訳により鮮やかに甦る。アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞受賞作。
¥1,153
早川書房 2010年, 文庫 645頁
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2017.
09.05Tue
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