ナイトホークス
ASIN: B07S86Q8C9

ナイトホークス

ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。


¥642
扶桑社 1992年, Kindle版 313頁
※価格はこのページが表示された時点での価格であり、変更される場合があります。商品の販売においては、購入の時点で Amazon.co.jp に表示されている価格の情報が適用されます。

読んだ人:杜 昌彦

ナイトホークス

日本でも長いつきあいのファンが多く近年ではドラマ化で新たなファンも獲得したようでだから過去作も電子化されたのだろう)、 そういう読書の楽しみは何よりも素晴らしいと思いはするけれど残念ながらわたしにとっては巧いから読んでがっかりさせられることはない代わりに共感も感情移入もできない作家という印象なのですマイクル・コナリー一匹狼だなんだといっても警察組織のなかで有能な働きをするじゃないですか主人公辞めてからも人脈やら人間関係やらはなんだかんだいって結局は大切にしているし社会生活がちっとも破綻していないどころかむしろちゃんと英雄扱いされて称賛されているだったらなんでわざわざ読むんだよといえば、 『GONZOの難航が原因です犯罪小説を読むことからずっと離れていたせいでその手の小説に対する筋力が衰えたのを実感しひさしぶりに読んでみようかなと思った次第しかし 92 年こんな大昔でしたっけMBVLovelessの翌年ですよ受動喫煙や副流煙といった言葉もまだ定まっておらず主人公は室内や車内で喫煙しまくりゲイやトランスジェンダーは変態扱い女性を性的な対象としか見ることができず仕事仲間とか隣人といったようなそれ以外の関係性を女性とのあいだに構築しうるなどとは考えたこともないらしく仕事で女性と組まされるとすぐに色目を使い男性の上司とも当然何かあるんだろうと勘ぐりしかも女性のほうもそれが当然であるかのようにすんなり受け入れてしまう、 「(男性の英雄とはこうあるべきとでもいうかのようにこの男女関係の異様さは主人公が現在のわたしとそう違わない年齢だという点にもある四十過ぎの男がこんなにガツガツしてますかしかも相手ずいぶんと年下じゃないですか常軌を逸している現代なら性依存症の診断が下されるはずだたかだか三十年前はこれが英雄だったのかと驚かされる時代の変化を割引いても共感の余地はないストーリーテリングの勉強のために読む感じがどうしても拭えないだからといって途中で放り出すほどつまらなくもないのがこの作家の奇妙さだこれだけ巧ければ文句はないのだだから読まされちゃうそうそうこういう作家なんだったと思い出した

(2020年11月17日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
ぼっち広告

AUTHOR


マイクル・コナリー
1956年7月21日-

米国の探偵・犯罪小説家・テレビ脚本家。3年間の犯罪記者経験の後、刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。1992年『ナイトホークス』でエドガー賞処女長編賞を受賞。2003-2004年にはアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の会長を務めた。テレビドラマ「BOSCH/ボッシュ」ではプロデューサーを務め、複数のエピソードの脚本を書いている。

マイクル・コナリーの本