ナイトホークス
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ナイトホークス

ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。


¥642
扶桑社 1992年, Kindle版 291頁
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著者: マイクル・コナリー

(1956年7月21日-)米国の探偵・犯罪小説家・テレビ脚本家。3年間の犯罪記者経験の後、刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。1992年『ナイトホークス』でエドガー賞処女長編賞を受賞。2003-2004年にはアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の会長を務めた。テレビドラマ「BOSCH/ボッシュ」ではプロデューサーを務め、複数のエピソードの脚本を書いている。

マイクル・コナリーの本
2020.
11.17Tue

ナイトホークス

日本でも長いつきあいのファンが多く、近年ではドラマ化で新たなファンも獲得したようで(だから過去作も電子化されたのだろう)、そういう読書の楽しみは何よりも素晴らしいと思いはするけれど、残念ながらわたしにとっては「巧いから読んでがっかりさせられることはない代わりに共感も感情移入もできない作家」という印象なのです、マイクル・コナリー。一匹狼だなんだといっても警察組織のなかで有能な働きをするじゃないですか主人公。辞めてからも人脈やら人間関係やらはなんだかんだいって結局は大切にしているし。社会生活がちっとも破綻していないどころか、むしろちゃんと英雄扱いされて称賛されている。だったらなんでわざわざ読むんだよといえば、『GONZO』の難航が原因です。犯罪小説を読むことからずっと離れていたせいで、その手の小説に対する筋力が衰えたのを実感し、ひさしぶりに読んでみようかなと思った次第。しかし92年、こんな大昔でしたっけ。MBV『Loveless』の翌年ですよ。受動喫煙や副流煙といった言葉もまだ定まっておらず、主人公は室内や車内で喫煙しまくり、ゲイやトランスジェンダーは変態扱い、女性を性的な対象としか見ることができず、仕事仲間とか隣人といったような、それ以外の関係性を女性とのあいだに構築しうるなどとは考えたこともないらしく、仕事で女性と組まされるとすぐに色目を使い、男性の上司とも当然何かあるんだろうと勘ぐり、しかも女性のほうもそれが当然であるかのようにすんなり受け入れてしまう、「(男性の)英雄とはこうあるべき」とでもいうかのように。この男女関係の異様さは主人公が現在のわたしとそう違わない年齢だという点にもある。四十過ぎの男がこんなにガツガツしてますか。しかも相手、ずいぶんと年下じゃないですか。常軌を逸している。現代なら性依存症の診断が下されるはずだ。たかだか三十年前はこれが「英雄」だったのかと驚かされる。時代の変化を割引いても共感の余地はない。ストーリーテリングの勉強のために読む感じがどうしても拭えない。だからといって途中で放り出すほどつまらなくもないのがこの作家の奇妙さだ。これだけ巧ければ文句はないのだ。だから読まされちゃう。そうそう、こういう作家なんだったと思い出した。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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