いわゆるオールド・ボーイズ・クラブの物語。 これ双葉訳もおもしろいんですよ。 古すぎてね。 グレープフルーツに 「ざぼんの類」 とか注釈ついてんの。 「モチさ」 とかね。 村上訳のいいところはチャンドラーの男子校気質をうまく掬い取ってるとこですね。 金持の将軍と貧乏な探偵が男同士の連帯をしちゃうんだけど旧訳ではそこまで読みとれなかった。 『高い窓』 では逆バージョンをやってるんですよね、 ひっくりかえして見せている。 似たような役回りでも女だとディケンズ的な、 マインドコントロールする人格障害者になっちゃう。 チャンドラー、 潜在的同性愛者とかいわれちゃうわけだよなぁ。 これも装幀いいですね。 いまふと思ったけどアニメ版 『パプリカ』 の温室の場面、 ロバート・ミッチャムの映画版からの引用でしょうね。
ASIN: 4152093420
大いなる眠り
by: レイモンド・チャンドラー
十月半ばのある日、ほどなく雨の降り出しそうな正午前、マーロウはスターンウッド将軍の邸宅を訪れた。将軍は、娘のカーメンが非合法の賭場で作った借金をネタに、ガイガーなる男に金を要求されていたのだ。マーロウは話をつけると約束して、早速ガイガーの経営する書店を調べはじめる。「稀覯書や特装本」販売との看板とは裏腹に、何やらいかがわしいビジネスが行われている様子だ。やがて、姿を現したガイガーを尾行し、その自宅を突き止めたものの、マーロウが周囲を調べている間に、屋敷の中に三発の銃声が轟いた―アメリカ『タイム』誌「百冊の最も優れた小説(1923‐2005)」、仏「ル・モンド」紙「20世紀の名著百冊」に選出の傑作小説。待望の新訳版。
¥1,870
早川書房 2012年, ハードカバー 328頁
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読んだ人:杜 昌彦
(2017年09月05日)
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。