隣接界
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隣接界

近未来英国、フリーカメラマンのティボー・タラントは、トルコで反政府ゲリラの襲撃に遭い、最愛の妻を失ってしまう。本国に送還されるタラントだが、それから彼の世界は次第に歪み始めていく……。現実と虚構のあわいを巧みに描きとる、著者の集大成的物語。

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著者:クリストファー・プリースト

(1943年7月14日 - )英国のSF作家。その作品は「信頼できない語り手」を特徴とし、語り、真実、記憶の性質、現実といった事柄に疑問を投げかける。SFの先駆者であるH・G・ウェルズに強く影響を受けている。2006年には国際H・G・ウェルズ協会の副会長に就任した。

クリストファー・プリーストの本
2018.
01.03Wed

隣接界

十年ぶりのプリースト。それなりに楽しんで読んだ。なるほど集大成の評判どおり彼特有のモチーフをつなぎあわせてある。しかしつなぎあわせる要素、SF的な天才科学者のよくわからない理論によるSF的な兵器、に求心力がない。もやっとした書き方しかされていない。それぞれの物語がただ、異なる場所で撮影した写真のように、ばらばらのまま提示してある。ロベルト・ボラーニョ『2666』もまた同様の、つながりそうでつながらない物語で、最後まで答えが出ないあたりも似ていたけれども、連続強姦殺人という暗い現実味が力強く、それぞれの物語を結びつけ読者を惹きつけもしていた。『隣接界』のSFや寓話的世界にそうした力は感じられない。そもそもそうした意図がない。一方で、プリーストらしい悪意の描写には、あいかわらず病的な現実味が感じられもした。総じてよくわからない、というのが感想で、おそらくそうした「よくわからない」物語を提示するのがプリーストの意図だったのではないか。しいて意味を見出すなら、撮ることで失った妻を撮ることで取り戻す話、といったところだろうか。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。硬質な文体と独創的な物語で知られる。作風はアヴァン・ポップ、スリップストリーム、スペキュレイティブ・フィクションに分類される。2010年から別名義で活動。2013年日本電子出版協会(JEPA )主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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