D.I.Y.出版日誌

連載第200回: Thank God for Mental Illness

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2019.
06.30Sun

Thank God for Mental Illness

400 枚弱を書いたあと 22 話枚数にして 230 〜 250 枚ほどで書き上がる7 月は夏期休暇をもらえたのでそこそこ先に進めると思う予定通り 9 月中に脱稿できそうだ10 月から年末までは出版と読書と次回作の準備にあてるつもりでいるISBN が使い切れないほど残っているので可能であれば他人の本も出版したい利用している POD サービスが宣伝文句を信じるなら複数著者への印税支払いに対応したからだただしウェブサービスにかぎらず他人に期待すると裏切られる必ず実現するというのではなく可能性を視野に入れる程度に考えている。 『ぼっちの帝国は代表作になりそうだ。 『Pの刺激以来 14 年ぶりに調子が出ているこれだけのものがだれにも読まれないのは残念だどうにか方法はないものかと考えた手っ取り早いのは企業に出版してもらうことだかけられるコストも流通手段も大きく変わる受け付けてくれそうな新人賞はないものかと物色したない多くの新人賞は 500 枚までだ内容もそぐわない注文通りに書ける人材を探すのが新人賞だ求められる傾向に適合したものを書けるかどうかがはかられるそんな社会的な能力があれば 15 年前にプロになっているしそもそも小説など書いてはいない投稿サイトはどうか人気のサービスをいくつか覗いた題名や内容紹介などを見るかぎりどう考えても場違いだあれはフィーチャーフォン時代のケータイ小説に近い何かだと思うおれが読んだり書いたりしている小説とは異なる結局いつものようにアルファベット最初の文字からはじまる偉大なるモール様のお慈悲にすがってペイパーバック版と電子版を出すことになるこれまでこの日記で何度も書いてきたようにおれの本はモールが売りたい商品ではない彼らが売りたいのは投稿サイトほどではないが感性としてはやはりケータイ小説の側に近い何かであるような気がするそれが具体的に何であるかはどうでもいい平台や陳列棚を一望すればわかる価値の上下ではない単に違うのだ共通点がほとんどないたとえば行ったことがないので想像だけれど、 「とらのあなアニメイトでジョン・アーヴィングの新刊を買おうとするようなものだと思うポール・オースターもブコウスキーも買えないただそういう店なのだまちがって入った客が悪いではその客はどこでほしい本を買えばいいのかそんな店はないということになりつつある気がしている書いているのは読まれるためでも評価されるためでもないそれほど愉しくないしどちらかといえば苦行に近いので趣味ともいえない趣味にしては生活を犠牲にしすぎているでは何のために書いているのか何のためでもない単にこういう病気なのだ脳に欠陥があってこのように生きるしかない健常者ならこんな無駄な真似はしないとはいえ書けばどうしたって他者との比較が生じ社会的な指標に基づいて無能を意識させられるそんなことを気にせずに幸福になりたいまぁ不幸だろうと何だろうと最後まで書くし次の本も書くけれどそういう病気なのだ


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。