Tanssiva Karhu は 「踊る熊」 を意味するヘルシンキのバンド。 YouTube に 「歌ってみた」 動画を投稿していたヘルシンキの Jenna-Marie Laine (Discogs では Jenna Marie Pietil äと表記。 ギタリストの Toni Pietil äは夫か兄もしくは弟だろうか) という女性をボーカルとして、 昨年デビュー EP をリリースした。 ボーカルのほかフルート、 ギター、 キーボード、 ベース、 ドラムスという編成の六人組。 フルートのメンバーは YouTube 動画と Discogs とで異なっており、 五人で映っているアー写もあることから、 EP 収録時にはフルートのみサポートメンバーで、 のちに現在の Tin-jay Vuori が加入したと思われる。 公式 Facebook ページや SoundCloud のプロフィールには 「おかしな帽子を被ってくるくる廻る、 サーカスに囚われた熊ではなく、 松林で踊る自然の熊」 とある。 ポップ、 フォークロック、 プログレッシヴ、 サイケデリア、 ジャズに分類される。 Jenna Marie 本人によれば 60 〜 70 年代に触発された音楽とのこと。 個人的には Stereolab や初期の Autour de Lucie を連想した。 いわゆる 「渋谷系」 の洗礼を受けた世代には、 1995 年の The Cardigans や Cloudberry Jam をより耳に心地よくポップにした感じ、 といえば伝わるだろうか。 Facebook ページでは Dungen、 The Byrds、 Mamas & the Papas、 Donovan、 Fairport Convention、 Pentangle、 Os Mutantes、 Marcos Valle、 Mikael Ramel、 Linda Perhacs、 Wendy & Bonnie、 Free Design、 Liekki をお薦めアーティストとして挙げている。
Jenna Marie のことは九年前、 The Velvet Underground のカバーで初めて知った。 この動画は 35 万回以上も再生され、 世界中の 「歌ってみた」 少女が彼女に倣って 「After Hours」 を歌った。 以降、 彼女はヴェルヴェッツのほか PJ Harvey や Elliott Smith のカバーで人気を博す。 投稿の間隔が長くなり 2012 年を最後に YouTube での活動を休止、 2013 年に Google+ でオリジナル曲での復帰を示唆。 二年後に SoundCloud に Tanssiva Karhu のデモ曲が投稿される。
翌 2016 年、 Tanssiva Karhu は待望のデビュー EP 「Kutsu E.P.」 をリリース。 Facebook ページもその頃に開設されたようだ。 今年になって知ったのは Jenna Marie が YouTube にプロモ動画を投稿したからだ。 大学卒業後、 結婚し子育てをしていたために音楽活動およびウェブでの活動から遠ざかっていたのではないかと推察される。 インスタグラムのプロフィールには Tanssiva Karhu の歌手であり、 母であり鳥の友でもあると記されている。
現時点では YouTube にライヴ動画がいくつか見つかるだけで情報は少ない。 日本語の情報はおそらくこの記事が唯一だと思われる。 美しいメロディ、 耳に心地よい音色や歌声は日本人好みだ。 フルアルバムのリリースが待たれる。 ちなみに金髪にした理由をファンに問われた Jenna Marie は 「フィンランド人は大抵そうです」 と答えている。 かつては黒く染めていたのだ。