スティーヴ・エリクソン
アムニジアスコープ
アメリカ現代文学を代表する作家エリクソンが、近未来、大震災が起きて廃墟と化した幻想的なLAを舞台に、これまで自分が関係してきた女性たちとの記憶を生々しく甦らせ、愛について考察する。
エクスタシーの湖
突然ロサンジェルスの中心部に現われた巨大な湖。息子を救うために湖底へと潜っていく主人公クリスティンの物語と、2017年西海岸のゲリラ隊の物語が絡み合う。原書の実験的なレイアウトを邦訳版でも再現。北米のマジックリアリスト、エリクソンのカオス的な想像力が炸裂。
真夜中に海がやってきた
北カリフォルニアでのカルト教団の集団自殺から逃れたクリスティンが、風俗店ひしめく歌舞伎町のホテル・リュウで行なう「メモリー嬢」という仕事とは?地下鉄サリン事件や、ロックスターの暗殺などカオス的な事件の日付から成る「アポカリプスのカレンダー」。その作成にとり憑かれた「居住者」の過去とは?現代アメリカ文学の鬼才が放つ最新作。
ルビコン・ビーチ
幻覚的描写が次々に繰り広げられる圧倒的に魅力的な小説。空間のよじれの向こうに、もう一つの“アメリカ”が立ち現れる。第一部は仮釈放されて図書館で働くケール、第二部は南米のジャングルで生まれ育ったキャサリン、第三部は「もうひとつの数」の発見から物語は始まる。そしてどことも知れない場所へ。T.ピンチョン絶賛の著者の、代表作!
彷徨う日々
1970年代ロサンジェルス。孤独な人妻ローレンと、記憶をなくした男ミシェルが運命的に出会う。ロサンジェルスが砂嵐で埋め尽くされたある日、ふたりは激しく愛し合うのだった。一方、1900年パリ。双子の兄弟がポン・ヌフに捨てられた。娼館の娼婦に拾われたひとりはアドルフ・サールと名づけられた。やがて成長したアドルフは映画に魅せられ、『マラーの死』という長篇映画をつくり始めるが…。砂嵐のロサンジェルス、放火の炎もえ上がる厳寒のパリ。運河の涸れたヴェネツィア。ローレンとミシェルの恋愛は?アドルフの監督した伝説の映画の行方は。
Xのアーチ
フランス革命直前のパリ。アメリカ独立宣言起草者として名高いトマス・ジェファソンは、自らの美しき女奴隷で愛人のサリーを連れて帰国しようとする。トマスとともにアメリカに帰り、再び彼の奴隷になるか、パリに残って自由人の黒人でい続けるか。サリーの決断により、愛と快楽、自由と隷属をめぐる、時空を超えた目くるめく物語が幕を開ける…現代アメリカ文学最重要作家の超弩級の傑作!
黒い時計の旅
仮に第二次大戦でドイツが敗けず、ヒトラーがまだ死んでいなかったら…。ヒトラーの私設ポルノグラファーになった男を物語の中心に据え、現実の二十世紀と幻のそれとの複雑なからみ合いを瞠目すべき幻視力で描き出した傑作。
きみを夢みて
マジックリアリズム、SF、純文学を越境する作家の最新作、本邦初訳!『ロサンジェルス・タイムズ』紙2012年最優秀作品賞受賞。作家ザンと妻ヴィヴは、エチオピアの少女シバ(ゼマ)を養子にする。少女の母親を探す旅に出るヴィヴ。作家の自伝的体験、人種問題、アメリカの歴史が交錯し、「小説内小説」とポップ・ミュージックが絡む独自の世界が全開!
ゼロヴィル
語り手がさまざまな映画に言及し、映画に組み込まれ、映画を生きる……無意識や闇が銀幕に映写されるがごとき、特異な「映画小説」。「映画自閉症」の青年ヴィカーは、映画『陽のあたる場所』のモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーを、自分のスキンヘッドに刺青している。フィルム編集の才能が買われ、ハリウッドで監督作品を撮ることになるが……。映画と現実が錯綜する傑作長篇。エリクソン来日記念出版!