いずれまた読み返したい本です。 英訳からの重訳版で若いときに読んで、 国書刊行会のが出たときにも読みました。 物語としては旧訳が優れていて小説としては新訳が味わい深かった印象があります。 ソラリスのやっていることはあたかもコミュニケーションのように見えるけれども、 実際には単にそのような物理現象だというだけで、 そこに人間が反射作用のように勝手に感情を投影して、 ありもしない意味を見出しているのではないかと思います。 花をすぼめて蜂を捕らえる食虫植物とか、 そんなような感じ。 ひとは自分を取り巻く環境に対して、 感情のある存在であってほしいと無意識に願い、 往々にしてその願望と事実とを取り違えるのかもしれません。 古いロシア映画版は人間を描くために設定を利用していて、 美しいけれども、 結果としていかにも SF な狭い枠組みに陥った印象を受けました。 あの監督の SF 映画なら 『ストーカー』 が好きです。
ASIN: B00YGIKEI0
ソラリス
by: スタニスワフ・レム
惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。
¥1,100
早川書房 2015年, Kindle版 367頁
特集: お友だちはサイコパス, オールタイム・ベスト50
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こういう人間によく出くわす
読んだ人:杜 昌彦
(2017年12月07日)
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
『ソラリス』の次にはこれを読め!