よるです。店主が最近、僕の相手もせずに夢中になっている本はこちらです。
バスクについて、スペイン内戦について、店主は何も知らないと思います。僕から見ても、あまり教養のあるタイプとは言えませんからね。
アメリカに移住した男が、母語のバスク語で書き残した回顧録、それを幼なじみのバスク語作家が小説にするという作品。
言葉が消えていくことは、あの時感じたあの気持ち、あの時交わしたあの言葉、大切なものが失われていくということに違いないのだと思います。
僕と人間がわかり合うときにも、必ずしも人間語に翻訳されていない気持ちが、そこにある。
人間は僕たちを知ろうと、僕たちの仕草を真似して知ろうとする。そこに人間語の入り込む隙はない。
僕も人間の言葉をじっと聞いていますが、猫語にはない言葉も多くて、僕たちはそんな時、無理してわかろうとせず、そっと立ち去ります。
共通言語のチュールが聴こえてくるまで。
——よる
バスク語とスペイン語両方で書かれたこの作品は、バスク語版を定本に、スペイン語版で加筆された重要な部分も組み入れながら翻訳されたという力作です。
読書の秋にぜひどうぞ。
——Book with Sofa Butterfly Effect 店主 諸屋超子