拳銃使いの娘
ASIN: 4150019398

拳銃使いの

【アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀新人賞、アレックス賞受賞】 11歳のポリーの前に、刑務所帰りの実の父親ネイトが突然現われた。獄中で凶悪なギャング組織を敵に回したネイトには、妻子ともども処刑命令が出ており、家族を救うため釈放されるや駆けつけたのだった。だが時すでに遅くポリーの母親は殺されてしまった。自らと娘の命を救うため、ネイトはポリーを連れて逃亡の旅に出る。処刑命令を出した組織に損害を与えるため、道々で強盗をくりかえす父子。暴力と犯罪に満ち危険と隣りあわせの旅の中で、ポリーは徐々に生き延びる術を身に着けていく。迫る追っ手と警察をかわして、父子は生き残れるか? 人気TVシリーズのクリエイターが放つ鮮烈なデビュー作!


¥1,870
早川書房 2019年, 新書 264頁
※価格はこのページが表示された時点での価格であり、変更される場合があります。商品の販売においては、購入の時点で Amazon.co.jp に表示されている価格の情報が適用されます。

読んだ人:杜 昌彦

拳銃使いの娘

前回とりあげた逃亡のガルヴェストンと同じ題材にしてこれまた同じく人気ドラマ脚本家による作品だがこちらはエドガー賞を実際に獲っただけあって愉しめた話にも起伏があるし登場人物も必要充分な程度に活き活きしている父親が娘を教育する話なのだが心温まるほのぼのストーリーのパロディなのだろうそのあたりについてはおれの父親はフィクションではない本物のサイコパスだったし普通の家庭というものを知らないのでよくわからないたぶん健常者なら笑えるのだろう父の愛人と娘がはじめて心を通い合わす場面はよく書けていたたいして深みのある人物造形ではないが紙人形以下のガルヴェストンよりずっといい少なくとも読んでいるあいだは信じられるプロットに特筆すべき点はないこういう話でこういう設定ならこういう感じだよねという印象しかし極めてテンポがよいので退屈しないおもしろく読める。 『ガルヴェストンのほうはお約束をただなぞりましたという感じだったけれどこちらは読者の期待通りおもしろく書きましたという水準読んでいるあいだ期待通りしっかり愉しめて後に残らないというのも大切な技術だと思う人生のかぎられた時間をこういうのを読み棄てるのに使うのを無駄だと感じるか愉しく過ごせたと捉えるかはひとそれぞれだといってもたいした時間は要さない分量も薄いし内容的にもヤングアダルトといっていい普段はジャックダニエルを常飲していても米やコーンスターチの入った薄いビールを飲みたい日だってあるじゃないですかショットガンに乗る子という原題は助手席を意味するらしいがうまいことつけたものだ邦題の拳銃使いの娘も悪くないがギャビン・ライアルの小説を思わせるだけに少しがっかりさせられた登場する父親は拳銃使いではないただのちんぴら強盗だしかしほかの題名だったなら手にとる気にはさせられなかったろうからやはりうまくつけたものだと思う

(2019年07月17日)

(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
ぼっち広告

AUTHOR


ジョーダン・ハーパー

人気TVドラマ「メンタリスト」「ゴッサム」の製作、脚本を担当。小説家としてのデビュー作『拳銃使いの娘』でエドガー賞のほか全米図書館協会が「YA世代に薦めたい大人向けの本」に贈るアレックス賞も受賞した。

ジョーダン・ハーパーの本