本の網
愚か者同盟
ジョン・ケネディ・トゥール
1960年代ニューオーリンズ。肥満の30歳無職イグネイシャスは、母が車で他人の家に突っ込んで多額の借金をこさえ、その返済のためしぶしぶ就活を始める。潰れかけのアパレル工場、次いで零細ホットドッグ移動販売業者で職を得るが、仕事を放り出してデモを扇動したり、ホットドッグをつまみ食いした挙句に他人に屋台を押し付けて映画に出かけたりするなど、好き勝手やり放題。警察に追われるようになったイグネイシャスは、一癖も二癖もある奇人変人たちを巻き込んだり巻き込まれたりしながら逃亡劇を繰り広げ、ニューオーリンズの街に大騒動を巻き起こす――!!! デヴィッド・ボウイも愛読した、全世界200万部超のロングセラー&1981年度ピュリツァー賞受賞作。
読んだ人: 杜 昌彦
行き先はきくな
くみた柑
エリはただ、目的地を一駅間違えただけだった。乗車時間でいえばわずか二分。たかだか一駅分の距離が、果てしなく遠い――
なんでやの~?
真夏の深夜に繰り広げられる、四時間半のロードムービー!
ダジャレあり! 笑いあり! ダジャレあり! ダジャレあり!!
(涙はないの?)
エリは菊名にたどり着くことができるのか!?
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は実在のものとは関係有馬温泉。
読んだ人: くみた柑
忙しい死体
ドナルド・E・ウェストレイク
ギャングのエンジェルはボスに命令されて、墓に埋葬された仲間の死体を掘り返しに行った。どうやら25万ドル相当のヘロインを身につけたまま埋められたらしいのだ。だが、死体は墓から忽然と消えていた!死体を追って奔走するエンジェルの行く手に、謎の女や警官が立ちはだかる。それぞれの思惑が入り乱れて…。ウェストレイク初訳長編のユーモアミステリ。
読んだ人: 杜 昌彦
書こうとするな、ただ書け──ブコウスキー書簡集
チャールズ・ブコウスキー
わたしは作家になろうと必死で努力していたわけではなく、ただ自分がご機嫌になれることをやっていただけの話なのだ。
「自分がどうやってやってこれたのかよくわからない。酒にはいつも救われた。今もそうだ。それに、正直に言って、わたしは書くことが好きで好きでたまらなかった! タイプライターを打つ音。タイプライターがその音だけ立ててくれればいいと思うことがある。」(本文より) カルト的作家が知人に宛てた「書くこと」についての手紙。その赤裸々な言葉から伝説的作家の実像と思想に迫る、圧倒的な書簡集。
読んだ人: 杜 昌彦
ジョー・グールドの秘密
ジョゼフ・ミッチェル
「やつの名はジョー・グールド、世界の歴史上、一番長い本を書こうとしてる男です」
ある日、目の前に現れたのは、風変わりなひとりの老人。出会いが作家の人生と、その作品を変えてゆくーーニューヨークの路地裏に生まれ、今なお、輝きを放つノンフィクションの傑作。ミッチェルの語りを存分に楽しめる、マンハッタンを舞台にしたノンフィクション短編と、彼の最高傑作とうたわれた「ジョー・グールドの秘密」を収録。ジョゼフ・ミッチェル作品集、完結!
読んだ人: 一夜文庫
長い別れ
レイモンド・チャンドラー
テリー・レノックスという酔っぱらい男と友人になった私立探偵フィリップ・マーロウは、頼まれて彼をメキシコに送り届けることになった。メキシコからロスに戻ったマーロウは警官に逮捕されてしまう。レノックスが妻殺しの容疑で警察に追われていたのだ。しかし、レノックスが罪を告白して自殺したと判明。マーロウのもとにはレノックスからの手紙が届いた。ギムレットを飲んですべて忘れてほしいという手紙だったが……。『大いなる眠り』、『さらば愛しき女よ』と並ぶチャンドラーの代表作。愛と友情を描いた不朽の名作を名手渾身の翻訳で!
読んだ人: 杜 昌彦
海峡のまちのハリル
小林豊, 末沢寧史
ときは、いまから百年まえ。かつて世界の中心といわれたオスマン帝国が黄昏の時代を迎えていた。その都である〈海峡のまち〉で、トルコ伝統のマーブリング紙〈エブル〉をつくる職人の孫ハリルと日本人の貿易商の息子たつきが出会う。
「エブル」をつくる工房の家に生まれ育った少年ハリルは、周囲の友だちは新設された学校へ行っているのに、工房の親方である祖父のもとで下働きする毎日。一方、日本からやってきた貿易商の息子たつきは、異国の不慣れな土地で折り紙遊びで暇を持て余している。そんなふたりが海峡のまちで出会い、友情を深め、おたがいの感性をとおして、この街に生きる自分を見つめ直していく――。
アジアを描かせたら右に出る者はいない、『せかいいいちうつくしいぼくの村』の絵本作家・小林豊が絵を、その弟子でトルコをフィールドに取材執筆を行なう末澤寧史が物語と文を担当。師弟コンビが、20世紀初頭のイスタンブルを、生き生きと描く。
読んだ人: 一夜文庫