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Pの刺激 黒い渦

by: 杜 昌彦

『Pの刺激』
呪われた言葉が世界を染める。アヴァンポップな黙示録!
州辻郁夫、24歳。カルト集団自殺事件の生き残り。街は謎の断片群「PCz」に覆われていた。噂では13年前に失踪した無頼派、羅門生之助が作者だという。その孫の家出少女に振りまわされ、渦中へ巻きこまれる郁夫。大量の断片群に刻まれた魔術的想像力は、やがて現実を侵食しはじめ……。硬質な文体で描くダークファンタジー!(2005年)

『黒い渦』
あの渦からは逃れられない。愛と暴力の悪夢世界! 騒乱の夜から十年。かつて天才原型師と呼ばれた宍神は、企業の不祥事を隠蔽する「揉み消し屋」として日銭を稼いでいた。謎の女を救った夜から、黒い幻覚剤を巡る因縁に巻き込まれる。親しい人を「人形」に次々に殺され、過去と対峙した彼が見たものとは? 詩的な暴力描写、予想を裏切るめまぐるしい展開。ウルトラ・ヴァイオレンスな近未来ノワール!(1999年、2006年改稿)

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「みもと ふめい」氏による『Pの刺激』書評(2013年)

紹介する人:人格OverDrive 編集部

Kindle 版初出時に発表されたみもと ふめい氏による書評をご厚意により転載します注釈はすべて編集部によります。 (編集部

 お久し振りですみもとです

 いやなんだかすみません⋯ GeneMapper を読んで感想を書くつもりだったんですが生活がばたばたして全然パソコンに触れなかったうえに実はついうっかり他の本を読んでしまって⋯

 というのもですね前の記事でも書いた気がしますがどうもわたしSF をあまり読みなれていなくて最初の数ページでちょっと疲れてしまいふとした拍子で他の本を開いてしまったんです⋯それがこの本P の刺激です

 最初に言ってしまうととっても面白かったですこれがインディーズって言うんですかね?の本なのかというくらい楽しめましたというよりもここ数年の中でもトップ 3 に入る読書体験でした

 と感想の前にまずなんでこの本を読んでしまったのかを

 わたしは本を読むのが好きでいわゆる紙の本をそんなに多くはないけれどちょこちょこ読んでいたんですよけれどどうもですねこう物足りなくなってきてしまってちょっと小説から離れてしまっていたんです

 そんなときインターネットで KDP の存在を知ったんです音楽みたいに小説にもインディーズがあるんだと

 紙の同人誌やネット小説も含めればそんなのずっと前からあったんでしょうがAmazon を通して表紙も自分で作る本というのに不思議と惹かれました

 最初はあまり知らないままに Kindle 本体を買ってしまったのですがどうもスマホでも読めるようで今はもっぱらスマホで読んでいますKDP の他にも色々な電子書籍があるようですがなんとなくピンとこずまだ KDP の本しか読んでいません

 そんななかインターネットで面白そうな本を探しているとどうも頻繁に目にする名前がありましたそれがこの本の作者ヘリベマルヲ1さんでした

 早速 Amazon で作品を調べてみるとなんとどの作品も 0 円無料じゃないですか2とりあえず試しに一冊のつもりが気が付けば全ての本を揃えていました

 最初に手にしたのはこの P の刺激ですこの作者の最初の作品3ということとタイトルがカッコ良かったからです。 (でもちょっと P刺激だなんてなんか別の意味を考えてしまいますよねわたしだけでしょうか⋯?4

 早速本を開いて文字を少しだけ大きくし背景をセピアにして読み始めましたちょっと読みにくいです一文一文が短く翻訳文のような雰囲気がありますどうもリズム合わず読み進めるのに時間がかかりました

 ちょっと苦労しながら中盤くらいまできたときでしょうかたぶんですが文章もなめらかになりわたしも文章のリズムに慣れてきましたストーリーが頭にするすると入ってきてどんどんと読むスピードがあがってきました

 わたしは椎奈が好きでした強くて弱くてワガママで愚直でわたしにないものをいっぱい持っていました丸米も好きです

 後半になるとわたしはすっかり夢中で読んでいましたページを進めるのがもどかしく悪夢の景色が極彩色で目の前に広がりました惹きつけられ引っ張られるような描写です

 読み終えるとわたしはすぐにこの本が発行された日を確認しましたいったい現実にあったあの日からどれくらいの期間でこれが書かれたのか知りたかったのです5どこかで見たヘリベマルヲさんが東北に住んでいる6という話を思い出しました

 でもそれとは無関係にこの本は面白かったです現実がおはなしに侵食される瞬間それはどんな読書体験にもないくらいの恐怖と興奮でした

 わたしはたぶんいずれこの本を読み返すと思いますわたしが読み返す本はとっても面白かった本だけなのです

 このブログで最初にこの本の感想を書けたことを作者のヘリベマルヲさんに感謝します

みもと

注釈

  1. 初出時の筆名諸事情で 2017 年に改名
  2. 2012 年から数年間は全作品を無料配布していた
  3. Kindle 版での公開は本作が初2024 年現在で出版済の作品では血と言葉 逆さの月 崖っぷちマロの冒険収録の逆さの月」 (2001 年がもっとも古い
  4. 2024 年 1 月現在同フレーズで検索するとポルノが多数ヒットする
  5. 執筆は 2005 年翌年の第 13 回角川ホラー小説大賞で最終候補作中で起きる事件はすべて着想の元となった現実の出来事より数年早く設定されている
  6. 杜昌彦作品はすべて架空の地方都市青葉市を舞台としている
(2005年12月20日)

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人格OverDrive 編集部

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AUTHOR


杜 昌彦 認証
@ezdog@ezdog.press

著者、出版者。2010年から活動。2013年日本電子出版協会のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。