編集日記

連載第93回: 直す

書いた人: ヘリマル, タグ:
2017.
11.14Tue

直す

裏表紙ではなく表紙を表示するようCreateSpaceに頼んだら書影を消された。数日待ったが変化なし。著者セントラルから設定できると気づいた。窓口をたらいまわしにされたり実際には設定できたりと連携がめちゃくちゃだ。PNG画像を送信してから非対応形式だと気づいた。現在審査中。おそらくリジェクトされるしCreateSpace側が送信した画像も表示されないままだろう。一度購入すると在庫が増えるらしい。出版直後の「入荷待ち」表示のとき注文し、「3ヶ月待ち」表示を経て、17日後に届くと同時に3部表示になった。届いた翌日に再度注文したら2部から4部に、最終的に6部まで増えた。同タイミングで購入した『Pの刺激』もおなじ推移。一方『悪魔とドライヴ』は再販後、一度も購入しておらず表示も3ヶ月待ちのまま。購入すれば変わると思われる。

Amazonの関連づけアルゴリズムは「売れてるものが売れるもの」一辺倒で読書傾向を一顧だにしない。お粗末なランキングから適当に選んだものを雑に押しつけてくる。たまたまそのなかに手塚治虫があったので「持っています」にチェックを入れたところ、ばかのひとつ覚えで手塚全集ばかり薦めてくるようになった。「読みました」ではなく所有の概念を押しつけてくる時点で苛立ちが募るが、ばか正直に「持っています」にチェックしていたらほかの商品はいっさい表示されなくなった。覆されるまでひたすら「おすすめ商品に使用しない」にチェックする作業をした。YouTubeやSpotifyならこんな意味不明な手間はかからない。ただ使っているだけで好みに合うコンテンツを教えてくれる。

すでに親しんでいる名盤の版違いをひたすら薦めてくるのにもうんざりする。Amazonは同一性の捉え方が支離滅裂だ。本や音楽や映画をコンテンツとして見るのかモノとして見るのか。どちらともつかない。翻訳小説のKindle版が原書だったり、貴重なデモ音源を豊富に収録した最新の高音質リマスター版と80年代のしょぼいCDを平然と混同したり、ひどい例だと確かグリム童話だったと思うが、アニメ風の絵柄に仕立てた安っぽい絵本と、大人向けのまともな翻訳とを紐付けたりする。自動化するのはいいが精度が低すぎるのだ。お薦めにせよ紐付けにせよ視点/論理に一貫性がない。状況によって使い分ける風でもない。出発点である定義がただ雑なだけ、というかそもそも定義も指標もない。学習によって修正し精度を高める設計にもなっていない。ユーザの都合に基づく定義を教えてやることもできない。

やはり設計に難があるのではないか。「売れてるものを機械的にお薦めすればばかが買う」という論理に最適化され、個人の好みは無視され排除されて、「淘汰」される。機械的で雑な表示ばかりが雪だるま式に発達し膨れ上がっていく。コンテンツ性が重視されない商品ならそれでも差し支えない。しかし少なくとも本に関しては「買われるモノ」である以前に「読まれるコンテンツ」であり、その視点の欠落ないし無視はいずれ何らかのかたちで消費者に害を及ぼす。

このところ小説を読む気力がなく、漫画ばかり読んでいる。『2666』の次に『アーダ』へ手を出したせいかもしれない。おもしろいが楽には読めない。過去の習作『黒い渦』に少しずつ手を入れている。どうにも救えないゴミ。よくもこんな恥ずかしいものを書いたものだ。あまつさえ人前に出していたのだからわれながら呆れかえる。2006年当時はどんでん返しとドッペルゲンガーをやろうとしたのを憶えている。ミステリ的な整合性を意図した部分とわざと崩した部分がある。いま読み返すと「だからなんなんだ」という感想しかない。発想といい覆し方といい幼稚なだけだ。ゴミ表示に荷担せずに済んだのは単にだれの目にも触れなかったからにすぎない。文章を直せばとりあえず読めるようにはなる。しかし読む価値はない。「こんなものしか書けない自分」を証明するだけだ。作業をつづけるべきか迷っている。そろそろ新しいものにも手をつけたい。


ヘリマル

ゆかいな犬