Facebook は 「友達はいません」 機能を実装してくれないものか。 ケニアの中学生に知り合いはいないと何度言えばわかってくれるのだろう。 何がトリガーとなったのか見当もつかない。 ちゃんと居住地域も年齢も設定しているはずなのに。 かつて 「友達」 に設定していただれかがナイロビに引っ越したのだろうか、 とも考えたがそれでは中学生が表示される理由にはならない。 ケニアで十代に人気のバンドを知らずにフォローしたのかもしれない。
Spotify でお薦めされて気に入るたびに、 国籍なんていちいち気にせず Facebook ページをフォローしている。 ロシアのシューゲイズバンドやブラジルのボサノバメタルバンドをフォローしたらバンドメンバーから 「友達」 申請がきた。 海外では見知らぬ他人でも割と気軽に申請したり許可したりするらしい。 おれは外国語ができないし社会的能力に欠陥があるので無視したけれども、 ふつうはそのようにして世界中に交流の網を広げるのかもしれない。
youtube や Spotify ではお薦めの精度が高いのに Amazon のアルゴリズムは糞すぎてゴミばかり表示される。 対処法がようやく見えてきた。 youtube では気に入らない音楽の再生を途中でとめたり、 表示されても消したり、 好まない理由を教えたりしていた。 そのようにして知らず知らずのうちに調教していたのだ。 一切手を入れなければ youtube だって糞みたいな表示をする。 たまにシークレットモードで閲覧するとワイドショーの芸能人ゴシップやら芸人気どりの若者がくだらないことをやる動画やらが表示されて驚かされる。
Amazon でこれまでやっていたのはふたつだけだった。 閲覧をお薦めに反映させないようにすること、 購入品をお薦めに反映するチェックを外す (反映させたい購入品だけチェックを入れる) こと。 実はもうひとつあった。 お薦め商品のジャンルで kindle ストアを選び、 表示されるものをひたすら 「興味がありません」 にチェックしていくのだ。 この Kindle のお薦めがことさら精度が悪い。 そもそも Kindle 化されるコンテンツが少ないので (最近ようやく増えてきてはいるが⋯⋯)、 偏った商品がベストセラーのランキングにあがる。 彼らはその偏ったランキングから適当に選り抜いた本を、 こちらの好みを無視してお薦めしてくるのだ。
ちまちまと手を入れるうち、 さらにすごいことに気づいた。 お薦めされる本をひたすら 「関心がない」 にしていくと、 表示される本が変わるのではなく、 ただ減っていく。 関連づけの情報がまだ充分に蓄積されていないのだ。 あるいは単にまだ Kindle で読んだ本が少ないせいかもしれない。 少ない理由は読みたい本が Kindle 化されなかったり、 されたとしても印刷版よりずっと遅れたりするからだ。
以前、 『Pの刺激』 ペイパーバック版を三冊と海外文学を五冊ほど、 同時に購入したが関連づけはされなかった。 おそらく関連づけられるための購入数が決まっているのだと思われる。 現在の Kindle ユーザの購買行動にはその閾値が高すぎるのではないか。 そのためランキングに表示される本だけで関連づけが循環し、 その外側にある本はひたすら疎外されていく。 アルゴリズムというよりチューニングが糞なのかもしれない。 普及率の低さを考慮に入れた閾値の調整をしていない可能性がある。
上記三つの対処をして、 ゴミを見る機会はぐっと減るだろうと安堵していた。 そうは問屋が卸さない、 とばかりゴミばかり薦めるメールが届いた。 自著のペイパーバック版を 「おすすめ商品に反映しない」 にチェックしていなかったからかもしれない。 だとしたらペイパーバック版もすでにゴミと関連づけられていることになるし、 関連づけの論理も売れ行きとは関わりがないことになる。 自分で一冊ずつ買っただけだからだ。
ゴミといえば改稿中の 『黒い渦』 があまりにひどい。 やはりこの時期 (2006 年) はほんとうに精神病だったのではないか。 三人の医師から 「精神病でも人格障害でもない」 という診断をもらっているが、 どうにかこうにか精神科に行く気力が湧いたときには自然治癒していたのかもしれない。 『Pの刺激』 の次がこれでは、 なるほど作家になれなかったわけだ。 ここまで手をつけたからには最後までやり遂げたい。 とはいえ自著として胸を張って表に出せる代物ではない。 既刊三作と並べるのには抵抗がある。 ストアのゴミに文句を言いながら自分でゴミを増やすようでは話にならない。
『Pの刺激』 と 『KISS の法則』 はペイパーバック化にあたり数カ所に手を入れている。 『悪魔とドライヴ』 は改稿版が仕上がった。 登場人物の名前を変え、 ヒロインが教師に執着するきっかけの事件を追加し、 伏線を増やすなどしてミステリとしての構造を強化した。 要望の多かったカルトの詳細な描写は加えなかった。 主題が不明瞭になるからだ。 また劇場テロ事件の描写が増えたことでカルトの描写が不足している印象はなくなった。 プロットは変わらないが別の小説になったといって差し支えない。 それだけ書き足していながら 400 字詰原稿用紙換算では十枚減っている。 改行を減らしたからだ。 公開中のバージョンでは本を読み慣れていない読者を想定して意図的に改行を多くしていた。 ページ数が変わるような改版はできないので扱いを決めかねている。
書影の不具合はいまだ解決しない。 「あんたのいうことは嘘じゃないか、 でも Look Inside! は要らんから無効にしてくれ」 と言ったら、 「あなたの言うことがわかりました」 と返事が来たけれども前半は完全に無視されていた。 確かに Look Inside! はただちに無効にされたが案の定、 書影は裏表紙のまま。 おそらく現時点で問い合わせても二日待てといわれるだけだろう。 ほんとに伝わってるのかなぁ⋯⋯。