D.I.Y.出版日誌

連載第91回: 伝える

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2017.
11.07Tue

伝える

不自由な英語で何度も問い合わせると高齢者判定されるらしい。 CreateSpace の担当者がシニアサポートを名乗るようになった。むこうの主張では Look Inside! が右綴じに対応していないから書影も裏表紙になるのだという。 Look Inside! を無効にすれば正しい書影が表示されるそうだ。 Look Inside! の説明としては正しいが、書影の説明としてはまちがっている。『悪魔とドライヴ』では正しい書影が表示されているからだ。修正依頼のタイミングがたまたま適していたのか、たまたま有能な担当者に当たったのかはわからない。

CreateSpace と Amazon は系列とはいえ別会社でシステムも異なる。 Amazon の商品ページは更新のたびに CreateSpace 側へ商品情報を読み込みに行く。更新のタイミングはいくつかある。たとえば Look Inside! が適用されるときなどだ。 Amazon 側から CreateSpace へ情報を取りに行く場合、参照される情報はつねに変わらない。そのためせっかく CreateSpace 側から修正した情報を送信しても、 Amazon 側で更新がかかるたびに元々の情報が読み込まれ、初期化される。

不具合が生じるたびに Google 翻訳を使って問い合わせた。惚け老人扱いされたのも無理はない。彼らはすでに修正した情報を Amazon 側へ出稿しており、その先で起きることは把握していないからだ。本来であれば Amazon 側、おそらく著者セントラル側で対応すべき案件なのだけれども、日本の著者セントラルは CreateSpace 側の問題だと言い張る。確かにそれはそれで理屈が通っている。商品情報の管轄は配信業者側だからだ。なので認知症扱いされながらも CreateSpace に問い合わせるよりほかない。

修正後の書影に塗り足しが含まれる不具合もあったのだが、スクショつきで何度説明しても版下の仕様を説明されるだけだった。商品ページの話をしているのに表紙 PDF の納品フォーマットに文句をつけているかのように取り違えられたのだ。おそらくその件が惚け老人扱いされた原因だろう。日本語でも説明がむずかしい差違なのに Google 翻訳の英語で伝わるわけがない。六年以上も学校で教わったのに英語ができないこちらが悪い。この不具合については諦めた。

本が Amazon.com に反映されたので注文したのが二週間前。以前は数ヶ月かかるような表示があっても実際には二週間ほどで届いた。今回はやはり表示通りに三ヶ月かかるのか⋯⋯と思っていたら数日後には届く旨の通知がきた。やはり配信直後のお届け日は二週間強、とみていいようだ。最終的には一週間かからずに届くようになるはず。前回が確かそうだった。ある程度の売れ行き(著者が自分で購入する程度の部数でも)が見込めれば、数冊分が在庫ありとして表示され、短期間で届くようだ。


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。

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