杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第88回: 王国を築く

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2017.
10.25Wed

王国を築く

『KISSの法則』ペイパーバック版を刊行した書名の「!」の前に空白を入れたことにあとで気づいたなぜそんなことをしたのか自分でもわからない修正不可能今回は日本で配信されるのが早かった平日に依頼すればすぐさま反映されるようだ週末に申請すると一週間から十日ほどかかる手順をしくじって書影の修正を依頼する前に配信したあとから修正依頼をかけたら塗り足しつきの画像にされた『Pの刺激』は書名の表示がおかしい技術的な調査が必要だといわれたおまけに正常だった書影が裏表紙になった旧版のペイパーバックを絶版にして出し直したので絶版にした旧Kindle版に紐付けられた修正してもらえたが今度は旧ペイパーバック版が亡霊のように著者ページに出現し新たに紐付けられた版には実在しないレビューの星が残った紐付けはKDP著者ページの表示は著者セントラルに問い合わせたレビューの星については反映に時間がかかっているだけと説明されたがおそらく永久にあのままではないか

著者ページではKindle版よりも紐付けられたペイパーバック版が優先的に表示されている印刷版が基準とされるのはそれはそれで正しいのだけれども結果として書名と筆名がアルファベット表記になっているおまけに現状は裏表紙が表示される表紙が修正されたらKindle版を優先できないか著者セントラルに問い合わせるつもりだ『悪魔とドライヴ』Kindle版を再配信するよう設定したので反映されたらまた書影が裏表紙になる可能性がある何か変更を加えるたびに必ずどこかがおかしくなる日本語の本を日本のストアに配信するという二重にイレギュラーな使い方をしているのでCSとKDPと著者セントラルの連携に不具合があるのだこれはどうしようもないらしい

Amazonは読み物としてはGoodreadsなり何なりの別部門でやって販売部門であるAmazonでは商材としての側面のみを切り出している考え方は理解できるが日本ではGoodreadsなどの関連サービスがなく生態系が機能していないであればAmazonのアルゴリズム自体がピンで読書を包括的に理解していなければならないがグローバル展開で日本だけ特別仕様にはできない結果として読書が疎外される関連商品やランキングに読書の文脈はいっさい期待できないもっといえば非効率な無関係要素として排除されているSpotifyやiTunesは商品をコンテンツとして理解している単体で生態系として完結しているからだ販売に特化された一部門でしかないAmazonは単に商材としてしか本を理解しないこの差は大きい利用するのは単に使いやすいからだ「ひとり出版社」ごっこをするにはAmazonとCreateSpaceがもっとも適しているさまざまなウェブサービスを使い較べた上での結論だ

信頼性の面でもCreateSpaceは優れている似たような手段を提供するかに見えるサービスには詐欺も横行しているセルフパブリッシングはすでに新手の自費出版詐欺の温床だ二十年前に迫る規模に拡大している発言力のあるひとや団体が助長するような言動をしたり不都合なひとを黙らせたりするからたちが悪い無料で出版できますあなたのISBNも使えますとの謳い文句を信じて登録したら自分のISBNを使うために五千円払わされたあげく屋号を名乗る権利を勝手に奪われてあげく「実はあなたの名義にするには別なサービスで五万円が必要です」と告げられるのでは控えめにいって詐欺以外の何ものでもないしかし事実であっても名誉毀損なり営業妨害なりであべこべに訴えられかねないので名指しはできない新風舎や碧天舎とちがって被害金額が少ないので摘発はされないだろう消費者の無知につけ込んだうまい商売だAmazonもなかば公認している

完全に自己満足の趣味としてやっている商品一覧を眺めて悦に入ったり名刺代わりに本を配ったりするために出版するそのためにAmazonの一画を借りている他人に見せるものではないし見られる可能性もない他人にとって不可知であれば存在しないも同然だこのサイトにしてもサーバを借りて公開はしているけれども実質的にはMacのデスクトップにあるのと変わりないもっといえば胸の内にあるのと変わりない脳の外部拡張としてMacがありサーバなりインターネットなりがあるだけだ自分ひとりが楽しめればいいのだから社会的に存在する必要はない胸の内にありさえすればいい社会的に存在しないことはむしろ自由につながるヘンリー・ダーガーのように非現実の王国を築きたい


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
ぼっち広告