D.I.Y.出版日誌

連載第86回: ふりかえる

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2017.
10.21Sat

ふりかえる

Facebook の過去投稿を読み返していると試行錯誤の積み重ねがちゃんと今につながっていると感じる七年間で考えたことのほぼすべてを実行している思いつきだけで終わったものはひとつもない実現するために考え考えたことを実行し試した考えを発展させてさらに試したある程度の答えは得たように思う成果を楽しみつつ次へ行こうとしている

二年前のきょう書いていたこと

セルフパブリッシングをブランディングする本もしくはサイトをつくる必要がある作家の作風や持ち味にパラメータを付与してそこに読者がポイントをつけるのはどうだろう分布で著者一覧ができるようなパラメータの分布で好みの本を選べる本を知る過程というのは蜘蛛の巣みたいな文脈で作風や感性の似ているものを人づてに知る感じ点数やランキングではなく分布だ好きな作家や作風を入力するとお勧め作家や本が表示されるそのパラメータは参加者が入力する参加者の好みが開示されていてそれも新たな本を知るための文脈となる北上次郎さんみたいな人気書評家が見いだされやすい仕組みもほしいソーシャルメディアである必要はない交差点みたいな場所が必要だ

この時点でウェブサイトを本のようなものとして捉えていたことがわかるパラメータと分布図はそのままでは叶えられなかったがタグによる特集ページというかたちで実現したタグを付与すれば特集ページが自動生成される現状はヘッダ画像やトップページのバナーは個別に手動で設定しているがやろうと思えば自動化も不可能ではない書評家が見出される仕組みは執筆者を明示しそこからプロフィールへ誘導して思考を示すアクティヴィティと現在は外しているけれども記事の一覧を示すことで実現できている書影と ASIN を指定するだけで本の紹介ページが生成される仕組みも実現した複数ユーザで利用できるようにすればいつでも交差点のような場所にできるただしセルフパブリッシング本のブランディングという目的が失われたので実現する意味はないそこに価値はなかったその答えが得られたのが最大の成果かもしれない

Pの刺激』 『KISS の法則』 『悪魔とドライヴは印刷版を刊行した。 『ガラスの泡Pの刺激に併録した。 『悪魔とドライヴの全面改稿はほぼ終えていて次は黒い渦にとりかかるウェブサイトにせよ印刷版にせよだいたい言いはじめてから三年のスパンで実現している次の小説ぼっちの帝国がそろそろその時期になる12 月には書きはじめたい発表するつもりはないけれど


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。