Amazon で素人のゴミが売れるのはゴミみたいな素人が寄り集まってゴミばかり買うからだ。 ゴミのような素人とゴミのような作品で循環するうちランキングに表示され、 そこから汚染が拡大する。 定額読み放題サービスにゴミばかり目立つのでうっかりクリック、 という感染経路もある。 Amazon のアルゴリズムに読書の概念はない。 ゴミだろうが誤クリックだろうが金は金、 権利者が素人で扱いやすければなおよいという商売だ。
一般的な読者が電子書籍を手に取る条件は整いつつある。 しかしまだ客層が悪すぎる。 目新しいガジェットに手を出す客層は偏りがちだし、 とりわけ黒船来航当時は素人のゴミと青空文庫くらいしかコンテンツがなく、 なおかつゴミを礼賛する紹介者がいて、 それが 「インターネット」 の交流でネタとして消費されたために (そもそもそういう意図と人材、 人脈、 経路でもって紹介が行われた) 受容が歪められた。 その歪みは 「売れたものが (露出するから) 売れる」 による倍々ゲームでいまだ拡大する一方だ。
ゴミが増えればまともな本は 「淘汰」 される。 そうなれば読書は見向きもされなくなり出版は滅びる。 実際、 次のような危惧も語られている。
すでに同人誌的な小説らしきものがネットには数多く登場していて、 セルフパブリッシングも容易になっています。 玉石混合の時代に、 運よく面白いものに出会い、 「読書は面白い」 と思ってくれればいいのですが、 つまらないと 『本なんて読まない』 ということになってしまう。 (引用元: 「出版界の未来は? 河出・小野寺社長と筑摩・山野社長が対談」)
汚染を防ぐには 「閲覧履歴のオフ」 「まちがって買ったゴミは 『おすすめに使用しない』 にチェックを入れる」 の二点を啓蒙するしかない。 それでも自著の関連商品がゴミに汚染されるのを防ぐ手立てはない。 試しに自著を三冊と海外文学を何冊か同時に買い込んだが反映されなかった。 コントロールできないのだ。 しかしほんとうに本が好きならストアの表示など無視し、 信頼できる書評から本を探すのではないか。 書評の価値が見なおされつつあることを思えば、 それほど悲観しなくてもいいのかもしれない。