D.I.Y.出版日誌

連載第78回: 離れる

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2017.
10.05Thu

離れる

管理画面がきらいだ情報が多すぎて混乱する閲覧する画面から遷移せずに書きたいと三年前Facebook に書いたIT 系の友人たちにいくつかのウェブサービスを薦められた他人がとりしきる場所で顔色をうかがい媚びへつらいながら交流や売名のために書くのを好む人間ばかりではない商売柄そのことが彼らには理解できなかったBuddyPress User Blog の UI はそのとき薦められたウェブサービスに似ているカスタムフィールドや要約文を入力できないので使えなかったBuddyBlog や Social Articles にも同様の不満があるBuddyForms というプラグインのシリーズが対応していそうに思えたが複雑すぎて使い方がわからないやりたいことは単純なのに日本語の情報も皆無でどうにもならない

フロントエンドから投稿できるプラグインは複数ある多くは投稿用の固定ページを用意しなければならないそんな余計なものは増やしたくないBuddyPress のプロフィールページでやれなければ意味がないもっといえば WP adminbarBuddyBarも使いたくない現状はないと不便なので表示しているが使わずに済む仕組みを実現したい再編集のために使いたいわけでもないプロフィールページのメニュータブをクリックしてサブメニューから新規投稿を選びアイキャッチに書影を設定しカスタムフィールドに ASIN を要約に本の紹介文をコピペして本文のテキストフィールドに感想文を書ければいいさらに理想をいえば ASIN をカスタムフィールドに入力するだけで書影書名著者名紹介文を取得して表示したい書影書名著者名まではやろうと思えば Amazon.js でどうにかなるでも書影をアイキャッチに設定はできないし書名を記事タイトルにしたり著者名をタグに設定したりすることも困難だ紹介文はあるいは取得する方法があるのかもしれないけれども少なくとも Amazon.js ではできない

何事も単純でなければ耐えられない必要な情報のみ表示するようにしている。 「友人の表示や連絡先もやりとりが絶えれば削除する相手によってはほかの理由もある何があったか一部始終を目の当たりにしていながら加害者らやその仲間と親しげにつるんでいるのを知ったからだあるいは善意による共有が悪意を招くのを避けるためであったりもしたもちろん彼らがどのように顔を使い分けて世の中を渡ろうが自由だしおれが彼らから離れるのも自由だそこに悪意はないだれだって生きていかねばならないのだ家族の養育のような厄介な責任を負わず独りで好きなように楽しめる暮らしに満足しているセルフパブリッシングをやっていた頃はノイローゼのようになっていた複雑すぎたのだそれがどのようなひとたちのための場所であるかを思い知ったいま書くこととインターネットへの適正な距離を学びつつある


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。