書写という趣味

連載第8回: 書写への動機づけ

アバター画像書いた人: 28(にわ)
2023.
08.12Sat
書写
文章は円了書写@Toyopensubから.ぷんぷく堂のメモパッチ.ペンはゼブラのサラサクリップ0.5.

書写への動機づけ

書写という趣味はそれが趣味である以上字を書くことを楽しむということが最優先されるべきだと思うというのも書写は実利的な面が目に入りやすいからだ

字がうまくなることのメリットとして最も挙げられやすいのが他者からの評価であるきれいな字を書くと他人から好印象をもたれやすいもうひとつは記憶力と集中力が高まるというものである字を書くことで漢字を覚えるということと丁寧に字を書くことが集中力につながるというのが理由である

字を美しく書くという目標が設定されそれに付随するメリットが明確になるとそれらは商品パッケージになりやすい

字を書くことの目的には文字の伝達性を高める美しく書くという他者のための側面と文字を書くことで自分の内面に意識が向かうという2つの側面がある他者のための側面としての書写は自分と他者をつなぐコミュニケーションにもなる実際 SNS というソーシャル内で書写を投稿するという行為はコミュニケーションのひとつであり書写はそのためのツールとなっている先に挙げたように字の巧さは他者からの好印象を得やすい

書写をやる目的が他者からの評価にシフトすると字を書くという努力をコストと考え他者からの評価がリターンだという考えが生まれる経済的な倫理ではコストに対して最大限のリターンを求めるのが正しいので字に対する姿勢は甘くなり他者の評価ばかりを追い求めるようになるだろうコミュニケーションそのものが悪いと言っているのではなく字を書くという楽しみを見失わないでほしいということである

書写に限らず趣味におけるメリットは目的として目の前にくるものではなくて振り返った後に結果として現れたものであることが望ましいだから私は書写をやるとこんないいことがあります!という謳い文句があまり好きではないたとえそれが事実だとしても活動のメリットを前面に押しだすことは書写そのものの愉しさとはちょっと離れている要素だと思ってしまう

私が考えるにわたしたちが志向している目的というのは常に目的を達成するプロセスにある字を手書きする過程でわたしたちは自分が気づくことのできた発見というものに遭遇するそれらがわかってくる字を書く過程でできるようになることが増えるのだ字を書くことの楽しみはそこにある

私の考えはたぶんあまりにも自己に向きすぎているのだけどインターネットが身近になりすぎた結果読書も映画もアニメもソーシャルな世界で自分が存在し続けるためのツールに成り下がりつつある書くことは早送りできないしそこにはネタバレという概念もない生身の身体を実際に稼働できる時間で動かすという人間らしい制限のなかで字を書くという趣味を楽しんでいるのである

使用した文房具

バインダーで上部を挟むことを前提としているため2cm 下に切り取り線があるメモパッド

ジェルボールペンは太さがあるためはねやはらいがきれいに出る


遠つ人。日常+ 読書。Huginn(思考)とMuninn(記憶)