書写という趣味

連載第5回: 文房四宝;インクのこと

アバター画像書いた人: 28(にわ)
2023.
06.27Tue
書写
文章は探偵小説書写(@A5zrzMo)から.ノートはツバメノート.ペンはSALORのhocoro1.0mm幅.インクはDIAMINEのシマ―リングインクBluePearl.

文房四宝;インクのこと

万年筆インクの種類は多いここ 10 年のあいだに爆発的に増えたといっていい

万年筆を使ったことのない人にとってボトルに入った液体のインクというのがそもそも珍しいかもしれないしかし 2007 年にナガサワ文具センターが KobeINK 物語を同年に PILOT が iroshizuku 色彩雫を発売して以降万年筆のカラーインクは増え続けている

このころのボトルインクの容量は 30 ~ 50ml が基本だったけれども PILOT が kakuno を発売してからしばらくののち10ml 程度のミニボトルが販売されはじめたkakuno をきっかけに新規の万年筆ユーザーが増え万年筆以外の他のカラーペンと同じくらいの手軽さで色を選びたいというユーザーのニーズに応えたかたちでカラーインクのミニボトルはよく売れたのだろうと考えられる

例えばカートリッジ式に対応している万年筆は購入するとたいてい黒か青のインクがサービスで 1 本ついてくるのだがプレピーは軸の色を 7 色で展開していて軸と同色のインクがついてくるイエローの軸のプレピーを買ったら中に入っているのはイエローのインクというわけだ販売当時プレピーは万年筆で売っていたものの 210 円だったから価格帯の近いゲルインクボールペン等のカラーペンをかなり意識していたのではなかろうか

格安万年筆からミニボトル販売のカラーインクが増えその後ご当地インクと呼ばれる地方の文具店がつくるオリジナルインクも増えた近年はガラスペンが流行している余波でラメインクが増えているように見える2015 年にはダイアミンがシマ―リングインクを発売していたが異物であるラメがペン先に詰まる恐れがあるため万年筆に入れるインクとしては向かないと言われていたしそれでも使いたい場合は自己責任でいう感じ)、 あのインクが表すキラキラはカリグラフィーなどのつけペンで書かれるのが似合っていたと思うつけペンと同様にガラスペンもシマーリングインクを使う際にラメが詰まる心配をしなくてもいい

万年筆メーカーはペンと共に歩んでいるだから万年筆メーカーにとって自社のペンの歴史はそのまま会社の歴史だしかし万年筆インクは違うKobeINK 物語はシリーズ名のとおり色には神戸の街をイメージした名前がつけられているそして iroshizuku 色彩雫も色の名前は日本の美しい情景から1 つけられているペンには歴史がインクにはそのシリーズに合った物語が付与されているのだ

好きな色で字を書くのは楽しい書写の文章のイメージでインクの色を選んだり季節によってインクを変えたりすることもできるそういうときインクそのものの色がもつイメージだけでなくインクの名前やシリーズがもつイメージといったものもわたしたちは大切にしているカラーインクにはまるということはインクに付与された物語を愛しているということだそしてそれはそのままシリーズ化されているインクのブランディングにつながっているのである

使用した文房具

インクのもちをよくするためにリザーバーパーツをつけて使っている

ラメが下に沈むので書いているあいだでも適宜かき混ぜる必要がある

ツバメノートの紙は厚みがありなめらかなのが良いラメインクも裏写りしない

注釈

  1. iroshizuku <色彩雫>

遠つ人。日常+ 読書。Huginn(思考)とMuninn(記憶)