書写という趣味

連載第4回: 文房四宝;ペンのこと

アバター画像書いた人: 28(にわ)
2023.
06.10Sat
書写
文章は学問・評論書写(@AcademicShosha)から.原稿用紙はあたぼうの飾り原稿用紙.シャープペンシルはKawecoSpecial 0.9.

文房四宝;ペンのこと

文房四宝ぶんぼうしほうとは中国文人の文房趣味のひとつで筆紙の四つを指す

趣味としての書写を行うさい書くための道具すなわちペンの選択は重要だ何を使って書くかによって紙の選択も変わるからだ

まずわたしたちが一番書きなれているのは鉛筆だと思う間違えたら消しゴムで消すことができるし芯の硬度の種類が多い現在は 6B から 9H まで種類がある1 鉛筆メーカーは色々あるが私が今書写用に使っているのは三菱の硬筆書写用の 6B か 4B だ私が小学生のころはトンボの HB をよく使っていたような気がするけれど2000 年以降に小学生が使うのは HB より 2B のほうが多いらしい色が濃いと筆圧をそれほどかけなくていいからかもしれない

次にシャープペンシル学生時代に使う筆記具といえばこれだ授業中ノートをとるときに使う芯の太さは 0.3 ~ 0.5mm だと思うシャープペンシルは軸の太さ重心の高さグリップの有無など使い心地で個人の好みに差が出る特に学生時代は授業で大量の字を書くから手になじまないシャープペンシルを使うと手首や指先が疲れてしまう社会人になるとシャープペンシルで大量に手書きすることはなくなるが年齢を重ねると筆圧をかけるシャープペンシルはつらい私は書写では kaweco special 0.9 を愛用している太い芯がラクだということとペンそのものの重み軸のひんやりとした金属の感触が好きなのである以前は軽いプラスチック製の KOKUYO enpitsu sharp を使っていたこちらは kaweco に比べて入手しやすいと思う

その次はボールペン社会人になると使う頻度が高くなり油性水性ゲルインクとインクの種類で分類される販促でもらうものからプレゼントまでボールペンも様々だ書写に限らずとも普段使いするペンはなるべくストレスの少ないものを持ちたい最近はなめらかな書き味を謳うものが多いように感じる

ぬるぬる書ける代表ボールペンは三菱 uni の jetstream だインクは油性日常使いのノック式からちょっとしたプレゼント向けの回転式まで多くの種類が出ているペンの色も黒1色からカラーを含む 4 色までとバリエーションがあるし軸の色の展開も豊富だゲルインクだとゼブラの SARASA の人気が高そうだなによりゲルインクは油性と違ってボールペンのダマボテが出ないのが良い乾くのも早いからうっかり手を置いて擦れることもないカラーバリエーションも多い

最後は万年筆だ近年は低価格・入門用の万年筆が多く出ているプラチナ万年筆が低価格万年筆である preppy( プレピー ) を販売したのが 2007 年でPILOT が入門用の万年筆として kakuno を発売したのは 2013 年だそのあたりから万年筆という筆記具はそれ以前よりぐっと身近な存在になった

万年筆はメーカーが多いし色々なデザインや種類もある筆記具のなかでも趣味性やコレクション性が高いといえるそれゆえデザインに目が行きがちだが洗浄等のメンテナンスや使えるインクカートリッジの規格にも気を付けて品物を選びたいほかにも国内メーカーと海外メーカーの違いでいえば同じ F 字細字でも国内メーカーは漢字を書くことを考慮して海外メーカーよりペン先が細かったりする手帳用に買った海外メーカーの万年筆が思ったより太字で困ったということも起こりうる一番いいのは店舗で試筆して買うことなのでその際は文具店に店員さんに気軽に聞けばいいと思う

弘法筆を選ばずとは言うが道具を使う人はたいてい良いものを使えと言う私もその通りだと思う道具というのは身体の拡張だそれと同時に環境の一部でもある

ペンは人間の身体である手と字が書かれる紙とを媒介するペンを使いこなすことができれば人は思い通りの字を書くことができる頭に思い描いた文字のイメージをペンに伝えていくには体幹で上半身を支え背中から肩手首指先へと力を伝えていく必要があるペンを思い通りに動かしていくという過程を繰り返すことでペンは徐々に身体の拡張としての道具になっていく

またペンは紙と接触する道具でもある文字を書く際にペン先から伝わる抵抗は外部からの刺激として脳にフィードバックされる書かれた文字のラインが思い描いていたイメージとずれた場合は次にそれを修正してペンを走らせる

自分の操作と連動して思い通りの文字が書けたとき人は道具にも文字そのものにも自己帰属感が生まれてくるのだと思う気持ちよく使える道具は道具ではなく自分の身体の延長である感覚をもたらすからだ特に書写は文字を書くことのみに集中するためペンという道具に対して愛着を持ちやすいかもしれない

今回使用した文房具

参考サイト

  • 道具とは ? What should “be a TOOL” ?
  • 使い心地の良い道具は道具ではなくなる
  • 注釈

    1. 鉛筆・色鉛筆の JIS について

    遠つ人。日常+ 読書。Huginn(思考)とMuninn(記憶)