書写という趣味

連載第2回: 字を書く愉しみ

アバター画像書いた人: 28(にわ)
2023.
05.11Thu
書写
文章は朝活書写から.ノートはRollbahn(ロルバーン),ペンはPILOTのkakuno.

字を書く愉しみ

字を書くことの意味について考える前にまず書写は楽しい

前回私は書写と美文字を雑につなげてしまったけれど文字を書くことそのものが楽しみでなんでもいいからとにかく文字を書きたいという欲求が沸き上がるときがある筆欲と呼ばれたりする

筆欲がおこるタイミングは人それぞれだろうけどたいていは新しい手帳を買ったときだったり筆記具を手にいれたときだったりだろう

枕草子のなかでも清少納言が美しい紙といい筆があると気分が上がる1と言っているので真っ白な紙になにかを書くとか筆記具の書き味を味わうことの楽しみは昔から変わらないことのひとつなんじゃないだろうか

清少納言は中宮である定子からいただいた紙で枕草子を書いたけれど現代を生きるわたしたちは目的に応じて用紙やノートを使いわけることができるし筆も鉛筆もペンも使い分けることができる

筆欲が高まってなにかを書きたいけれど何を書くか清少納言は枕草子で日々思ったことや宮廷のやり取りを書いて結果的にそれは宮廷で読まれた

日記は人に見せづらくそれは自分だけの楽しみになるそしてそれだけでは物足りないこともある。 『枕草子みたいにエッセイを書くなら手書きでなくブログに載せたほうが読まれるだろう

自分が書いたものを自分だけの楽しみに留めるだけでなく他の人と共有したい気持ちは誰にでもあると思うTwitter をはじめとする SNS で手書き文字の画像が投稿されるときそれは共通のお題にハッシュタグを添えてあることが多いTwitter で今一番多く目にするのは朝活書写@ asakatsu_shoshaさんだろうTwitter アカウントで毎朝5時に投稿されるお題はそれぞれ 15 万以上の閲覧があるお題の文章は著作権に配慮して青空文庫に収録されている作品から抜粋されており書写のために抜粋された文章は 100 字前後を最大としている

毎日与えられた文章をただ丁寧に書き写す書くための文章をわざわざ自分で考えなくてもいいのはラクだ文字を書くことだけに集中できる縦書きでも横書きでも升目に沿ったノートでも罫線だけでも無地でも好きな紙と筆記具で書けばいい添削する人はいなくてただ同じように書写をしている人たちの目に触れるだけである上手く書ければ嬉しいし気に入らないと思えば練習すればいい現代は実用でなく趣味として自由に字を書くことができてその自由を選択できる時代だだからこそ今手書き文字が楽しいのである

Rollbaahn はクリーム地の紙に目立たない方眼が入ったリングノートで表紙のバリエーションも多い文房具店での入手もしやすい

PILOT の代表的な格安万年筆入門にぴったりペン先は EF極細字)、 F細字)、 M中字の 3 種類がある

万年筆を買うとたいていインクカートリッジがついてくるが他社のボトルインクを使いたいときはコンバーターを使用

紫グレーの仲秋は書いてみるとぱっと見黒ぽいけれど黒ではない

注釈

  1. 世の中の腹立だしうむつかしうかた時あるべき心地もせでただいづちもいづちも行きもしなばやと思ふにただの紙のいと白う清げなるによき筆白き色紙みちくに紙など得つればこよなうなぐさみてさはれかくてしばしも生きてありぬべかんめりとなむおぼゆる ( 引用元: https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/makura26)

遠つ人。日常+ 読書。Huginn(思考)とMuninn(記憶)