趣味で書写をやっている。
書写というのは、 その名のとおり文字を書き写すこと。 小学校では書き方とよばれたりもする。 学校教育では一文字一文字丁寧に書けるように、 とめはねはらいを習得する。 大人になってから書写をやるということはつまり、 美文字練習をしているということだ。
わたしたちが日常生活をおくるとき、 手書きの必要性は限りなく低い。 PC での入力、 スマートフォンでのやりとりで文字を手書きすることはほとんどない。 病院の問診票や役所での手続き、 履歴書くらいでしか字を書かず、 それも自分や家族の氏名・住所と決まりきった文字列だ。 今も年賀状を出している人はそこにちょっとしたコメントを添えるかもしれないが、 それは年に一度しかやってこない。
だからなのか 1 月はいちばんペン字に対する関心と需要が高まると聞いたことがある。 新年のはじまりに何か新しいことをやりたいという気持ちと、 字ならいつでもどこでも書けるという気持ちがあるからだろう。
それが続くかどうかはさておくとして、 自分の書いた字がきたないと感じているとテンションもモチベーションも下がりがちだ。 なんせ自分の書いた字をいちばん目にするのは自分自身なのだから。 だから美文字とまではいかなくても、 自分が納得できるくらい整った字を書くこと・書けることというのは案外大切なことのように思う。
なぜわたしたちは整った字が書ける人に憧れるのか。 なぜ字がきれいだと言われると嬉しくなるのか。 なぜあなたの書く字は美しいという台詞が誉め言葉になるのか。
字を書く機会が減ったいま、 字を書くという行為がどういう意味を持つのか。 その答えは人それぞれだと思うけれど、 せっかく書写をしているのだし、 自分なりの答えを導いていこうと思う。