バラクーダ・スカイ

第48話: テイク・ミー・ホーム

Avatar photo書いた人: イシュマエル・ノヴォーク, 投稿日時: 2023.01.24

保安官事務所の前にピックアップトラックを停止させたエミールは白いカウボーイハットのつばを撫でると自動車から降りた。エミールは外で待ち構えていたワイズマンや彼の部下たちと握手を交わし、オレンジ色のジャンプスーツに身を包みながら両手に手錠をかけられたジム・フライを見た。フライは表情筋を失ったように虚ろな顔をしている。フライの隣に立つワイズマンが指で顎にできた紫色の痣に触れ
「拘束されるときに肋骨が折れたんだってさ」と言い、エミールは喉を鳴らした。
「ピスビーの腕を折ったんだ。お互い様だ」
「ぼくもね」と言ったワイズマンが顎を指差した。
「骨の折れる仕事だったよ。凄く長い間、君と一緒にいたような気がしている」
 笑みを浮かべたエミールが言う。
「キニスキーはどうなった?」
 顎に触れながらワイズマンは顔を顰める。
「今朝、釈放したよ。取り調べの間、ずっと音楽の話をしていた。ジョン・レノンにサインをもらったと自慢していた。たしか、『ホワイトアルバム』。あと、モータウンの話もしていたし、スライ・ストーンとボビー・ウーマックのツアーを観に行ったとか。まるで関係のないお喋りを延々と、息継ぎしていないんじゃないかと心配になるぐらいに聞かされたよ」
 フライは小さく笑い、次いでうめき声を上げた。ワイズマンに背中を押されたフライはゆっくりと歩き出し、ピックアップトラックの助手席に乗り込んだ。フライは運転席と助手席を仕切るためにエミールが設置した金網に手を置き、生気のない目をぱちくりさせた。腕を組んだワイズマンが
「エルパソに帰る気分は? 晴れがましい気分かい?」と尋ね、エミールは片手を腰ベルトに置いた。
「先にダラスだ。今度こそ裁判所に連れて行く」
「腕を折られないように気を付けたほうがいい」とワイズマンが言うと、エミールはカウボーイハットのつばを撫で
「おれはそんなヘマをしない」と言った。すると、ワイズマンが口笛を吹いた。
「元奥さんと息子には会うのかい?」
「おれは約束を果たす」
「一度はすっぽかしたのに?」
 喉を鳴らしたエミールが「忘れたわけじゃない」と言って手を振った。ワイズマンは制帽に触れ
「今度は親子で遊びに来てよ。カリフォルニアのビーチはキレイでしょ? もちろん、休みをとって。もう、今回みたいなことは願い下げだよ」
 ピックアップトラックに乗り込んだエミールはパワーウィンドウを下げ「また会おう」と言うなり、アクセルを踏んだ。駐車場の脇に植えられたアカシアの黄色い花が落ち、光り輝くクモは密林のクロヒョウのように元気よく飛び跳ねた。

 ピックアップトラックはサンディエゴ市内を北上すると八号線に乗り、カラマカ・ランチョ州立公園を通過した。さらに進んだモリーナ・ビレッジからは砂漠が広がった。自動車はオコティージョ、エル・セントロ、ユマで九五号線に切り替え、さらに北上した。眼前には方向感覚を失わせるような広大な砂漠が広がっている。コファ野生動物保護区ではサワロサボテンが点々と生えており、黄色い斑点模様のドクトカゲが道路の脇をゆっくりと歩いているのが見えた。エミールはクォーツサイトで缶ビールを買い、助手席のドアを開けると金網に寄り掛かりながら眠っているフライにビールを差し出した。目を丸くしたフライが
「もう着いたのか?」と尋ね、エミールは首を横に振った。
「飲め。しばらくの間、酒はおあずけだからな」
「あんたは?」
「飲酒運転は犯罪だ」
「囚人に酒を差し入れることはどうなんだ?」
「さっさと飲め。ダラスに着くまでに酒が切れていなかったら容赦しない」
 フライは「ありがたい」と言って、手錠をはめられた手で器用に缶ビールの蓋を開け、げっ歯類がドングリを食べるようにビールを飲みはじめた。カウボーイハットのつばを撫でたエミールは助手席側のドアを閉めて運転席に座った。フライの咽喉が鳴る音が響いていた。エミールがラジオのスイッチを押すと、砂嵐のようなノイズと共にジョン・デンバーの『テイク・ミー・ホーム』が流れ出した。あっという間に缶ビールを飲み干したフライは気持ちよさそうに首を振り、大きく息を吐いた。
「カントリーなんて田舎臭くて嫌いだったが、どうやら、思い過ごしだったみたいだ」
 エミールは胸ポケットから煙草の箱をとり出し「吸うか?」と言った。フライが薄ら笑いを浮かべ、エミールが金網の隙間に煙草をさして火を点けた。フィルターを口にくわえたフライが金網から煙草を引き抜いて口の隙間から煙を吐き出した。エミールも煙草をくわえて火を点ける。フライはエミールの顔をまじまじと見た。
「あんた、誰かに似ているって言われないか? たしか、西部劇の……」
 エミールが「誰しも、誰かに似ている」と言い、フライは子供のように正直な笑顔を浮かべた。エミールが言う。
「慰めにならないだろうが、お前の罪は減った。ナイトクラブは火事ということで決着がついた。それから、ラングーンとやらが殺された」
 フライは鼻から煙を吹き出し「神サマに感謝するよ」と言った。喉を鳴らしたエミールがアクセルを踏んだ。自動車はアリゾナ州のフェニックスを通過し、四〇号線上のギャラップ、アルバカーキからサン・ジョンを越えてテキサス州に入った。延々と続く砂漠は無限のように感じられた。自動車はアマリロから二八七号線に切り替え、南東に向かった。クロード、チルドレス、ウィチタ・フォールズを通過すると、ようやく大地に緑色が見え始めた。ピックアップトラックはボウイー、ディケーター、プレイノを休むことなく通り過ぎた。深夜になってダラスに到着するなり、二人は示し合わせたように大きなため息をついた。街灯に照らされたコマース通りをゆっくり走らせながら、エミールはライトアップされたことで赤茶色に輝いているモスクのような建物を指差した。
「あの城みたいな建物がオールド・レッドだ」
「あそこに行くのか?」
「いいや、あそこはもう使っていない。右手に見えるのがディーリー・プラザ。ケネディが暗殺された場所だ」
 フライが眠たげに目をぱちくりさせた。自動車はフリーウェイの下をくぐり抜け、コマース通りを直進した。柴色に塗られた裁判所を見たエミールがハンドルを切って「着いたぞ」と言うと、フライはいびきをかいていた。ため息をついたエミールが金網を叩き、驚いたフライが身体をピクつかせ、うめき声を上げながら前かがみになった。自動車を降りたエミールはカウボーイハットのつばを撫で、裁判所を見上げた。エミールが助手席側のドアを開けると、フライは手錠の鎖を鳴らしながら降りた。エミールが警備員に向かって合図すると警備員は大袈裟にうなずき、中から三人の大柄な男がやって来た。エミールが言う。
「エルパソの保安官代理、エミール・バーリングだ。ジム・フライを引き渡しに来た」
 大男の一人はもったいぶった態度で口髭に触れ
「随分、遅いんだな」
「おかげ様でな。引き渡しの書類にサインをしてくれ」
 エミールはダッシュボードから書類をとり出し、大男が書類にサインした。フライは黙ったままその様子を見ている。フライが口を開く。
「いい旅だったよ。最後にいい思い出になった。ありがとう」
 白いカウボーイハットのつばを撫でたエミールが「何年先になるかわからないが、出所したらエルパソに来るといい。シャイナーボックを飲ませてやる」
フライは手首で鼻を擦り「夢のある話だ。約束するよ。ムショを出たら、まず、最初にエルパソの保安官の詰め所に行く」と言った。こめかみを撫でたエミールが
「テキサス・レンジャーの詰め所に来い」と言って踵を返し、ピックアップトラックに乗り込んだ。

 朝七時に自動車の中で目を覚ましたエミールはスケン・ロードにある保安官事務所に向かった。エミールは駐車場に自動車を停めると、向かいに建つ半ドーム型の倉庫を眺めながら煙草を吸った。等間隔に立つ木製の電柱はどれもが少しずつ傾いていた。不意に声を掛けられたエミールが振り返ると、白いカウボーイハットとシャツ、ジーンズ姿の中年男が立っていた。男の腰に巻かれたガンベルトは年季が入っており、胸にはサークル・スターが輝いている。
「お前、デニスの倅だろう?」と言われたエミールは地面に灰を落としてうなずいた。
「そうだが、あんたは?」
中年男は「ヴァン・グラハムだ」と言って、手を差し出した。エミールがグラハムの厚い手を握る。グラハムは白髪交じりの口髭に触れた。
「この近くで窃盗事件があったから、ちょっと顔を出したんだ。昔、そこの保安官だったんだ。もう、昔の仲間はいなくなっちまったが、つい、懐かしくてな。少しお喋りをして、外に出たらデニスにそっくりな男が立っているときた。まるで、幽霊を見たような気がした。昔、デニスがここに来た時は色々と話を聞かせてもらったよ。保安官代理をやっている倅がいるってことも」
「親父は何か言っていたか?」
 まばたきしたグラハムが「自慢の倅だと言っていた」と言った。
 カウボーイハットのつばを撫でたエミールは「足りないことは多いが」と言い、グラハムが肩を上下させた。
「お前は、じきにレンジャーになるだろう。デニスの倅だからというわけじゃない。お前の歩く先がそうなっているというだけ。その間に足りないものを見つけておけばいい。あとはなんとかなる」
 グラハムは突き立てた親指でサークル・スタ―を指差し、歩き去った。その後、エミールは保安官事務所に向かい、受付で電話を借りた。ダイヤルを回し、コール音が響く間にため息をついた。

─ こちら、保安官事務所。
「タイニー、おれだ」
─ エミールね。終わったの?
「あぁ、カークの言う通り、フライを裁判所に連れて行った」
─ 本当に良かった。今、近くにピスビーがいるけれど、代わったほうがいい?
「いいや、必要ない。腕の具合はどうだ?」
─ ピスビーに聞けば?
「それもそうだな。帰ったら、じっくり聞く。カークに代わってくれ」
─ ちょっと待っていて。
 保留音が押され、オルゴールのような音色の『アメイジング・グレイス』が受話器の奥から響く。一分ほどすると、ガチャリという音が聞こえた。
─ カークランドだ。エミール、良くやった。
「おれは約束を果たす」
─ サンディエゴで訴えられそうになったそうだな。
「さぁ、どうだったか。最近、物忘れがひどくてね」
─ 安心しろ。訴えは取り下げられた。ワイズマンがお前を褒めていたぞ。
「思ったほど、粗暴者じゃなかったとかか?」
─ お前が左遷されるようなことをしたら、その時はサンディエゴに推薦してやる。
「馬鹿な真似はしない」
─ 今の言葉、自分自身によく言い聞かせるんだぞ。わかったら、さっさと戻ってこい。書類一枚、満足に仕上げられない阿呆、オダムズのせいで有給休暇をキャンセルしたピスビーが片腕で仕事しているんだからな。
「書類仕事ならジェイミーに任せたほうがいい」
─ お前がいない間に、警備局から手が足りないと泣きつかれて貸したんだ。
「カークは人使いが荒い」
─ 何か言ったか?
「いいや、なんでもない。カーク、おれは大仕事をした。だから、疲れ切っている。もし、このままエルパソまで運転したら、うっかりハンドルをミスしてトラックに突っ込むかも知れない。もしそうなったら、人手はもっと減る」
─ お前の言いたいことはよくわかる。しかしだ。
「エリとリロイに会いに行く。まだ、連絡していないし、もしかすると、面会日じゃないから断られるかも知れない。だが、折角、ダラスに来たんだ」
─ あぁ、しまった。カレンダーが見当たらない。昨日、机の整理をした時に間違って捨てたみたいだ。エミール、今日は何日だ?
「七月二二日」
─ 違う。七月二一日だ。おれが間違うはずがない。そうだろう?
 エミールは笑みを浮かべ「ありがとう、カーク。恩に着るよ」と言って受話器を置いた。黒いダイヤルフォンを受付係に返したエミールが鼻先に触れた。
「シャワールームを貸してもらえないか?」
 受付係は困ったような顔で「部外者には貸せない規則なんです」と答えた。
「エルパソの保安官代理は部外者か?」
 額の皺を伸ばすように撫でた受付係が「口外しないでくださいよ」と言った。

 埃と汗を洗い流したエミールは保安官事務所を出るなり、ピックアップトラックに乗り込んだ。その後、ロス・アベニューに建つアパートの前で自動車を停止させたエミールは緑色に塗られたドアを見ながら、金網を外したことで広々とした助手席に置いたままになっている制帽に手を伸ばし、白いカウボーイハットを脱いだ。エミールは胸ポケットからとり出した煙草の箱をダッシュボードに放った。道路脇に植えられた細いサルスベリの枝先から生える葉が風に揺れていた。アパートのドアが開き、Tシャツ姿で鞄を背負う少年に続いて、白いブラウスにグレーのタイトスカート、縁なし眼鏡をかけた明るい茶色の髪の女が見えた。女は肩からショルダーバッグを垂らしているほうの腕を伸ばして少年の黒っぽい髪を撫でた。制帽のつばを撫でたエミールがピックアップトラックから降り、歩き出す。エミールを見た女が目を丸くし、駆け出した少年がエミールに抱き着いた。ロス・アベニューに到着した黄色いスクールバスが油圧式ドアを開くものの、ドアをさっさと閉めて走り去る。スクールバスの尾灯を見ながら女が舌打ちした。
「何の用?」
 怒りと苛立ちから構成された音節。エミールは剃ったばかりの顎に触れた。
「囚人を裁判所まで連れて行ったんだ。この間のこともある。話がしたい。時間はあるか?」
「えぇ。誰かのせいでスクールバスに乗り遅れたから」
「学校まで送る」
「必要ない。タクシーに乗る」
「キチンと話をしたいんだ。今日の夜、食事でもしながら」
 目を細めた女が「所長には話した?」と尋ね、エミールは「もちろん」と答えた。女は大きなため息をつき「一八時半にここに来て」と言い、手を挙げるとタクシーが停まった。エミールはしゃがみ、少年の黒い目を見ながら言う。
「そういうわけだ。リロイ、今夜は三人で食事する。何を食いたいか考えておいてくれ」
 女はリロイの背中を押し、タクシーに乗り込んだ。タクシーが発進し、リロイは手を振っていた。ピックアップトラックに乗ったエミールは腹に手を置き、目を瞑る。そして、そのまま眠った。

 夢の中では、父親のデニスが月毛のクウォーターホースの首に巻き付けられた長い縄を持っていた。馬はデニスを中心に回っている。デニスは片手に握った鞭を地面に垂らしたまま、馬に向かって何か言っている。耳をピクつかせた馬がデニスに近付くと、デニスは馬の首筋を撫でながらエミールを見る。青々とした空と薔薇のような空が交互にやってくる。馬はエミールに背を向け、毛が波打つ。デニスが口を開く。
「力は必要ない。支配しようとする必要もない。あるがままに任せるんだ。だが、絶対に縄から手を放すな」

 エミールは窓ガラスをノックされた音で目を覚ました。額を撫で、ドアを開けると、縁なし眼鏡をかけた女が立っていた。
「今度は約束を忘れなかったみたいね」
「あぁ」
「寝ぼけている?」
「いや、エリ。もう大丈夫だ。それで、リロイは?」
 エリはすぐ後ろに立っているリロイの肩に手を置いた。エミールが「車で行くか?」と言い、エリは首を横に振り「近くの店を知っている」
「よく行くのか?」
「ちゃんと、家事をしているのか聞きたいわけ?」
「いいや、そういうわけじゃない。ただ、口から出ただけ。意味なんてない」
 ピックアップトラックから降りたエミールはリロイを抱き上げた。リロイは笑みを浮かべながら頬を寄せる。エミールがエリを見て「このまま、歩いて行こう」と言うと、エリが歩き出した。
 三人は一ブロック先にあるダイナーに入った。店内の真ん中には水槽が置かれており、水槽を見るなり、リロイが手を挙げ、エミールはリロイをおろした。リロイが水槽に近付き、ガラスに小さな掌をくっつけて一心不乱に覗き込む。水槽の中を悠然と泳ぐアロワナの胴体は長く、体半分よりも後ろにある背びれと尾ひれ、斜め下方に延びる胸ひれ、コインほどの大きさの鱗はそれぞれに濃淡があり、機械のような輝きを放っている。
 エミールとエリはソファに腰を下ろした。二人がラミネート加工されたメニューを見ていると、背の高い色白のウェイトレスがやって来て「注文は?」と言った。エミールが喉を鳴らした。
「フライドチキンと野菜スープ。あなたは?」
「ステーキがいい。付け合わせはポテト。この二日、ロクなものを食っていなかったんだ」
「そう」
「リロイはどうする?」
「ハンバーグよ。好きなの。帰ってからずっと言っていた」
 ウェイトレスが「飲み物は?」と尋ね、エリはメニューをテーブルに置き
「コーヒー」と答えてエミールを見た。細い鼻と切れ長の目、茶色い瞳の周囲には疲れと混乱、苛立ちが見て取れた。エミールが言う。
「コーヒーがいい。明日の朝にはエルパソだからな。飲酒運転は犯罪だ」
 メモをとらずにウェイトレスが手をヒラつかせて歩き去った。リロイはアロワナの下顎からせり出した二本のヒゲを見ている。ヒゲは世界の神秘が宿っているかのように揺れている。リロイが口を開けると、アロワナがリロイを見た。慌てたリロイが頭を下げ、アロワナの眼球にリロイの黒っぽいストレートの髪が映った。メニューをテーブルの横に立てたエミールはエリを見た。誰よりも近くで見たはずの顔には彼が知らない感情が脈打っていた。エミールが口を開く。
「言いたいことは沢山あるだろうが、先に言わせてほしい。おれは色々と間違ったことをした。レンジャーになるための推薦が欲しくて、目立つようなことに進んで手を挙げた。馬鹿みたいに危険な任務、早撃ちコンテストにも出場した。それに、お前がリロイを産んだ日には越境者をバスに乗せていた。親父ならそうやっただろうが、今は時代が違う。おれは時代が変わったということをわかっていなかった。いや、言葉では知っていたが、知らんぷりを決め込んでいた。今更、許してくれとは言わない。おれにそんな資格がないことはわかっている。お互いの関係は終わった。それでも、前にお前が電話で言ったように、おれとリロイの関係は終わっていない。だから、これからはもっと協力する。誠実になれるよう努力する」
 ため息をついたエリが縁なし眼鏡に触れた。
「もっと前にそう言っていれば、こうはなっていなかったでしょうね」
「そうだな。おれは頑固で愚かだった。それでも、少しは賢くなることができる。これからは失望させるようなことはしない」
 リロイが水槽を指差しながら
「ねぇ、父さん。母さん。見てよ」と言った。


作家、ジャズピアニスト、画家。同人誌サークル「ロクス・ソルス」主催者。代表作『暈』『コロナの時代の愛』など。『☆』は人格OverDrive誌上での連載完結後、一部で熱狂的な支持を得た。

連載目次


  1. 星条旗
  2. テキサス人
  3. 保釈保証書不要につき
  4. バロース社製電動タイプ前にて
  5. アスク・ミー・ナウ
  6. ユートピアを求めて
  7. ヴェクサシオン
  8. フィジカル
  9. バロース社製電動タイプ前にて ~テイクⅡ
  10. ジェリーとルーシー
  11. プレイヤー・レコード
  12. イースタン・タウンシップから遠く離れて
  13. エル・マニフィカ ~仮面の記憶
  14. バロース社製電動タイプの前で ~テイクⅢ
  15. 炸裂する蛾、網を張る蜘蛛
  16. 窓の未来
  17. セックス・アフター・シガレット
  18. バロース社製電動タイプ前にて ~テイクⅣ
  19. アタリ
  20. 小カンタベリー、五人の愉快な火かき棒
  21. 回遊する熱的死
  22. 顔のないリヴ・リンデランド
  23. 有情無情の歌
  24. ローラースケーティング・ワルツ
  25. 永久機関
  26. エル・リオ・エテルノ
  27. バトル・オブ・ニンジャ
  28. 負け犬の木の下で
  29. バロース社製電動タイプ前にて ~テイクⅤ
  30. エアメール・スペシャル
  31. チープ・トーク
  32. ローリング・ランドロマット
  33. 明暗法
  34. オニカマス
  35. エル・マニフィカ ~憂鬱な仮面
  36. ニンジャ! 光を掴め
  37. バスを待ちながら
  38. チープ・トーク ~テイクⅡ
  39. ブルックリンは眠らない
  40. しこり
  41. ペーパーナイフの切れ味
  42. 緑の取引
  43. 天使の分け前
  44. あなたがここにいてほしい
  45. 発火点
  46. プリズム大行進
  47. ソムニフェルムの目覚め
  48. テイク・ミー・ホーム
  49. オン・ザ・コーナー ~劇殺! レスリングVSニンジャ・カラテ
  50. 血の結紮(けっさつ)
  51. 運命の交差点
ぼっち広告