D.I.Y.出版日誌

連載第348回: 時代

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2022.
12.20Tue

時代

検閲される用語一覧をくれよ。隠語でしゃべるからさ。とりあえずあれだろ、天×門は即 BAN されるんだろ。憲兵がリアルに監視にくるかもしれないな。そんで拉致されて二度と戻ってこないんだ、いまのロシアみたいにさ。ふだん使いのメールアカウントが Gmail なんだよな⋯⋯当然、 Google に検閲はされてるわけで、そういうのも不安になってきた。偏在するサーバ間で同一のプロトコルで通信することで連合する仕組みをプラットフォームととりちがえたことによって、アパルトヘイトで成り上がった出自の武器商人は Mastodon への無知を示したばかりではなく、そもそもインターネットがなんであるかさえ理解していない事実をさらした。しかしかれの権力の前ではそんな事実はなんの意味ももたない。定義を明確にしてほしいよな⋯⋯偏在するサーバ同士が特定のプロトコルで通信する連合がだめなら電子メールもだめだし、なんならインターネットそのものがだめ。ソーシャルメディアがだめなら YouTube もだめ。 Amazon だってソーシャルメディアの性質をそなえている。 WordPress はどうなのとか疑問は際限ない。 Misskey は?  Pleroma は?  BuddyPress や PeepSo はどうなんだよ。だめなのは SNS なの?  ActivityPub や Ostatus なの? 営利プラットフォームとしては自分とこから一歩も出ないで循環してほしいんだよな、外に出られたら儲けを失うから。 Amazon なんかむかしから外部リンクそのものが禁止だったし。本の感想を連投しただけで BAN されたことがある。鳥小屋は武器商人の暴走自動車に突っ込まれる前からそんな場所だった。差別や暴力を報告しても対処はされず、野放し。プラットフォームあるいはインターネットでより人気のあるアカウントこそが正義であり、おれみたいな無名人はゴミみたいに扱われる。いまにはじまったことじゃない。新自由主義の行き着く先はこういうことで、日本政府がいまやっていることも似たようなもんだよな。こんな状況になってまで使いつづけるのは結局、そこにひとがいるからなんだよ。民主主義はそういうとこに弱いんだ。汎用性ってやつにさ。アフガニスタンやミャンマーや香港やチベットやロシアは他人事じゃないよ。それがわかっているからおれはむかしからおひとりさまを模索している。アパルトヘイトで成り上がった出自の武器商人はいずれ大統領選に出馬して選ばれるだろう。詩集を手にした女子高生が浜辺を散歩しただけで逮捕される世界はもうすぐそこだ。


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。

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