D.I.Y.出版日誌

連載第343回: あッ!!

Avatar photo書いた人: 杜 昌彦
2022.
10.18Tue

あッ!!

おれがおれである以上他人によく思われるのはむりなんだおれだって好きじゃないが死ぬまで付き合っていくしかないこれがおれなんだ叱られたところで変えられない別な人間になれたらよかったけど⋯⋯

書いたとおりに表示したいそれに加えてウェブの横書きはすくなくとも日本語では段落間の空白をそうでない行間よりも広げないと読みにくいEnter 一回ですこし余白をとった改段落二回で空白行にしたかったhtml と css は英語にもとづく発想でつくられている段落とパラグラフ改行とブレイク行間とラインハイトは似ているようで異なるしかも空白行には単に装飾だけではなく場面や感情や思考の切替を意味する構造の性質もある本来は独自の html タグがあってもいいはずだなのに改段落を br で処理するのはパラグラフの概念と合致しないから不適切とされ空白行を構造として記述する html タグが存在しないためにcss で装飾として処理するしかない日本人は上から押しつけられた枠組をただありがたがって受け入れる性質がある疑いをはさむと無礼とされて排除される電子書籍元年と呼ばれた 2010 年でさえ縦書きをなくせとか英語で充分だろなどと声高に主張する技術者がめだったおかげで日本語話者でさえないイラン系米国人の尽力がなければ携帯で本を読むという最低限の文化的な営みすら叶わなかった日本人はこのことを恥じるべきだし彼女に感謝して記念日でも制定すべきだ)。 改行ごとに空白を入れるような壊れた文章が横行するに至ったのはウェブの仕様を日本語の表示に適したものにしようとする発想が多くの日本人になかったことが原因だと思っている言葉は容れ物に応じて変わるものなのでそれはそれでひとつの表現様式ではありそうした容れ物ではじめて声を獲得できた書き手もいるだろうけれどおれ自身がそれを強いられるのは帽子に合わせて頭を削ったりベッドに合わせて脚を切断したりするようなものでどうしても我慢ならない妥協として Enter 一回でただの p二回で余白を調節した p で囲うことにした不本意ながら構造と装飾の意味からいっても正しいといえる最初は str_replace で br を p の閉じタグと装飾つきの p 開始タグに置換しようとしてうまくいかなかったそこで br をブロック要素にして高さやマージンを割り当てようとしたが機能せずあきらめきれずに br を今度は上寄せにしてフォントサイズを指定するというむちゃくちゃな荒技をためしてSafari と FireFox では成功したかに見えたが Chrome ではだめだっただめなのが正しい表示だと思う再度 str_replace に挑戦して最終的にはやり遂げたWordPress では br にスラッシュが入るそれを取り除く処理をしていたのを忘れていたスラッシュつきの br を置換したらうまくいった

mimei さんの記事を読み返していて英文の半角空白を和欧間処理の薄い空白が挟むというわけのわからない不具合に気づいたstr_replace で置換しようとしてもうまくいかず結局すべて手作業でなおしたえらい時間がかかった今後 mimei さんが寄稿されることはないだろうからこれ以上労力を使うのは無意味だけれど気になりはするあらためて原稿にあたってみたら別の怖ろしいことに気づいたもとの文章では引用部分が a.b.c.d. の箇条書きになっているそしてそこだけサンセリフ体になっている)。 原稿を無視した掲載をしてしまったmimei さん遠慮していえなかったんだろうなおまけに[…]という原稿に存在しない文字列が文末に勝手に足されていた原稿をまともに確かめもせず著者の意図を尊重するという最低限の役割もはたさないなんていくら素人編集者でもあってはならないことだCotEditor で不可視文字を表示するとあきらかに半角空白ではないものが混じっているなんだこれ?  C2A0改行禁止空白だったstr_replace で一発置換できる代物だ手間と時間をむだにしたmimei さんこれ意図してやってたの? どうもそんな感じがするだとしたらその意味を汲んだ組版なりコーディングなりをすべきだったのかな教えてほしかった数十万回も読まれたあとで今さらだけどようやく本来あるべきすがたで表示できたなんで気づかなかったんだろう⋯⋯これまでで最悪の失敗だいずれにせよ Word での入稿はトラブルのもとなので今後はテキストファイル+装飾にかんする指示で納品してもらうようにしようというかおれが変名で書いたほうがよさそうだな他人に協力してもらうと優れた作品が読めるうえに問題点や改善点を見つけやすいからおれにとってはよいことずくめなのだけれど他人にかける迷惑が大きすぎる

書くのは整理したいからで消すのは気が済んだのと残しておくほどおもしろくないからたまに怒られるけど他人はおれにとってわざわざ気にかけるほど重要じゃない書かれたものは重要にもなりうるけど読む主体はあくまでおれにある)。 おれのコンテクストは実際にはおれだけのものだところが当然のようにあらゆるコンテクストが共有されたものと思い込んでいたりあらゆるコンテクストが開かれているべきだと信じていたりするひとにとっては自分のコンテクストに乱暴に介入してきたと感じるんだろうなたしかに広い意味では文章は開かれたものだからどう読もうと勝手だけど他人の読み方にまで責任もてないよがんばって評価される世間のひとたちはすごいと思うし努力した他人がその当然の結果として評価されるのはもちろん寿ぐべきことだけれどそんなのはおれにとってどうでもいい他人がどうあろうと関係なくおれには何もなさすぎるどころか罰されるだけだってことをいいたい妬みそねみは他人を落とすことだろそうじゃなくて終始おれの話なんだよ相対評価じゃなく絶対評価としておれの人生がこうだって話書いたものやサイト運営だけじゃなくてね努力した見返りがほしいとまではいわないせめて蔑まれたり憎まれたり疎まれたりそんなのはもういやだそのためにおれは今後これまで以上におれの部屋だけで出版を完結させるつもりでいる自分自身への絶対評価としての、 「おれにはできた」 「よくやっているって実感を得るために手作業で印刷して製本しておれのサイトで売る売れたらおれが梱包して郵送するそこは読者なり買い手なりをあたかも想定するかに見えるけれど実際そこはどうでもよくて大切なのはおれにそれがやれるってことそれをやるだけの仕組をおれが実現するってこと報われない努力の話とかそういうのですらないんだ読者という他人をつい想定してしまう時点でおれはだめなのだろう他人というコントロールできないものをやりたいことの前提にするのがそもそも矛盾していておれがずっといってきたことやりたいことは徹頭徹尾おれの気持のなかだけで完結すべきことだおれ自身がどうありたいかって話なんだよそういう意味でおれはヘンリー・ダーガーを尊敬している死後に評価されたかれではなくてあれだけの益体もない妄想を抱えながら市井の生活者ただの雑役夫として死んだかれを

今回の改修でいちいち手作業でコーディングしなくても柳楽さんの最初の連載とおなじことを実現できるようになったほかにもちょっとした小技をいくつも実現していてたとえば著者のソーシャルメディアを紹介しているこれは公式アカウントもあれば bot もあり非公式のファンクラブもあれば粗悪ななりすましもある寄稿者には認証バッジもつけたのでそうした点で著名な文豪たちが寄稿者より見劣りするという価値観の転倒を演出できたわけだただ Wikipedia のリンクもつけてしまったのであいにくこれは著名人に部がある寄稿者のふたりはメディアに取材されたしうち一名はおれを罵倒して原稿をひきあげた)、 別のふたりは商業デビューしたから遅かれ早かれこのリンクも機能するだろうけれど⋯⋯おれ以外はねほかにはトップページのおすすめ著者名を中黒で折り返せるようにできたのが個人的には快挙だったあとはいずれ Teams みたいに寄稿者と作業の進捗を共有できるようにしつつTwitter で他人に迷惑かけないようにこうした思考の垂れ流しを Activity Stream に隔離するつもりなのだけれどどういうわけか数年前は使えていた BuddyPress が機能しないActivity も Member ページも真っ白のままだたぶん何かが干渉しているのだろうけれど原因が特定できないおれが自分で書いた設定が悪さしているにちがいない早いとこなんとかしなければとは思っているこれ以上他人に迷惑はかけたくないからねきちがいは隔離だ


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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