D.I.Y.出版日誌

連載第304回: 生きられない

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2021.
01.28Thu

生きられない

また PA-API が死んだかなりの閲覧があったあとで気づいた調べたら 12/22 が最後のコンバージョンだった成果がないまま丸ひと月が経過したので無効になり情報が取得できなくなったのだろう何をやってもうまくいかないいまだかつて一度たりともうまくいったためしがない出版社名およびサイト名の人格 OverDriveは二十代のときの語彙でそれで ISBN を取得してしまったのを後悔している最初から複数の寄稿者を得て活動していたらイージードッグ・プレスでやっていた当初は自分しか想定していなかっただから人格が歪んでるって意味でつけたんだ漢字二文字とカタカナ語をつなげるのは前世紀末に流行した言葉遊びで世代的なものなんだよ筋骨スプレマシーとかそういう感じの現代の感覚ではない古すぎる改称したいのだけれど ISBN をとりなおす金と労力がない。 「楽犬舎ってのも考えてそれで登録する寸前だったんだけどなんか見栄えがあまりよくないのと犬小屋感あってあまりよろしくないと思ってやめたんだよ長すぎると思ったイージードッグ・プレスはそうでもなかったそっちのほうが出版社感があるしPOD に利用している業者も出版社名を変えることには対応していないいまさら変えるとなると金と労力がかかりすぎるむりだなというかもう正直あんまり出版に金と手間をかけたくないんだよな得るものがないから突っ込んだことをやろうとすると結局は既存出版を前提とした枠組に阻まれて何もできない出版とは見なされないしだれにもまともに相手にされない相手にされるためにやっているのかと自問してどうもそうではないらしいとなるとだったら出版なんてやるだけむだじゃね? という結論になる書くし書いたら出版するにはするけどそこまで金と労力を注ぐもんじゃないどうせだれも読まないんだから2016 年はいろいろやったけれどだれにも理解されず失敗したがそれもまたいい経験になった)。 2017 年は WordPress を独習して ISBN を取得して InDesign を導入し極小出版をがんばった2018 年はいい本をいくつか読んでぼっちの帝国の助走としての逆さの月を書いた2019 年はぼっちの帝国を書いた2020 年は PA-API と格闘したり寄稿を募ったりGONZOを書きはじめたりした今年はもう一段階なにかおもしろいことかつプロフェッショナルなことを習得したり挑戦したりしたいと考えているが具体的にはまだわからない人格 OverDrive 新人賞とか連載全体のシノプシスと初回分で応募してもらって最優秀者には連載とプリントオンデマンドでの書籍化ISBN がついて Amazon楽天honto などで売られるの権利を授与とかあほらしいだれが応募するんだよ才能を認め合える天才と出逢いたい柳楽先生のファンのような読書通に読まれたいイシュマエル氏や諸屋さんはわたしが一方的に惚れ込んでるだけで向こうは別にわたしに関心はない読まれてもいない現代ではソーシャルメディアなり名刺交換会なりで顔を売ることがいい小説を書くことよりも重要であることはわかっている残念ながらわたしにはその才覚がないFediverse はどうだろうと思ったが大半のアカウントがアニメ風女児イラストのアヴァターだった成人男性がそのようなことをしているのだとしたら気色が悪い実際女性の身体部位を連呼する発言内容がやたら目につくどこへ出向いてもその種の人間しかいないことに恐怖をおぼえる望ましい客層には手が届かない女児の身体性に執着する変態とか京アニ放火事件の犯人のような本を読まない作家志望者に読まれることは容易なのだけれどそれだと Amazon のアルゴリズムに同類とみなされ関連付けされてそのような輩に火をつけられるだけの読まれ方になるそうなるとわからずにやってしまって筆名を変えたいまでも抜け出せないのが現状だ柳楽先生のファンを人格 OverDrive に招くことには成功したが読まれるのは当然ながら柳楽先生だけお目当ての記事を読んだら彼らは満足して帰ってしまう諸屋さんやイシュマエル氏にしてもそうで彼らの固定ファンは確かに訪れるがほかの作品にまで関心を向けてはもらえないましてわたしが書いて出版した本にまで関心を向けることはないこれをどうするか彼らが相互に言及すればファンの往来が発生するわたしのはこの際どうでもいいや柳楽先生諸屋さんイシュマエル氏に互いの書いたものを読んでもらいたい柳楽先生に諸屋さんのコロナ in ストーリーズを読んでもらったことはあるどれだけ短くてもいいから感想を twitter に書いてもらえればいいのだけれどそれはお願いできないどこに何を書くかは作家が決めることで強いられてやることではない例外が連載であってすでに寄稿なんてむちゃなことをお願いしているうーんでも諸屋さんとイシュマエル氏わたしの書くものとはどちらも親和性があるけれど彼ら相互は作風に接点なさすぎるな⋯⋯むりだなこりゃ馴れ合いじゃないからいいってのもあるしな頼んで何かしてもらうんじゃなく表示の工夫でどうにかすべきだというわけで関連付けの表示を改善したこれまでは何をどう関連づけてどう表示するかがまちがっていた往来が発生しにくい関連付けと表示だった改善したとはいえ自己満足にすぎずどうせ何も変わるまいあとほかに思うこととしてはやっぱり寄稿者のファンコミュニティみたいな場所であってもいいような気がするそのために BuddyPress をもいちど導入してみるのも悪くないとも思ったけれどあほらしいだれが参加するんだよでもたまに翻訳日誌に言及した記事を目にするとむりやり口説いてよかったのだろうとは思う柳楽先生の文章が好きなのはわたしだけではないのだ


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。