杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第292回: 無能の浅知恵

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2020.
10.23Fri

無能の浅知恵

いつもの鬼気迫る爆発的な殺到がない。おかげでサーバのアップグレードは免れたが納得ゆかぬ。やはりソーシャルメディアで共有される時間は重要だな。夕方から夜の早い時間までの共有がもっとも効果があるようだ。午前10時は悪くはない。あるいは通勤時間である朝8時前後も効果があるのかもしれない。昼の12時台もたぶん悪くない気がする。昼休みが終わる13時頃の共有はいくら人気作家でも読まれにくいようだ……と思ったがそれにしてもおかしい。めっちゃ共有されてるのに閲覧数と辻褄があわない。アクセス解析に問題があるのだろうか。そういえば画面に表示された警告文に促されてよくわからない設定をした。あれが原因で情報が取得できなくなった可能性はある。そのせいならばいいけれど「編集者」としてのわたしの不手際が原因なら責任は重い。大切な原稿を預かっていながら読まれるための適切な努力を怠ったことになる。著者の自主性を尊重することと編集者が怠けることは異なる。いくら素人であってもそのくらいの見境はつけたい。前の日や公開直前に著者にリマインドすべきだった。分割したのも正しい判断ではなかったかもしれない。意図としては一回の文章量をある程度、揃えたかったのと、次回の投稿まで興味をつなぎたかったからなのだけれど、寄稿者の読者層はインテリなのだから長文でもまったく構わなかった。中途半端に待たせるよりは力の入った文章をがつんとまとめて読んでもらって、充実感から次回への期待を抱かせる方向がよかった。おそらく曜日も不適切だった。KDPでは出版社が週末にキャンペーンや話題作の出版をやりがちなので、逆に何もない水曜が出版やキャンペーンの狙い目といわれる。けれどもウェブの記事では週末の夜か、あるいは月曜の朝がいいのかもしれない。自分の記事は何をどうやったところで読まれないことに変化はないので、このあたりがどうもわからない。いろいろ調べて考えたがわたしの対応ミスで確定のようだ。ほかの寄稿作品の読まれ方はふだんと変わりないのでアクセス解析の異常ではない。ソーシャルメディアにおける称賛(いいねやリツイート)と読まれることは必ずしも関係がないようだ。ソーシャルメディアのユーザの多くは他者から自分がどう見えるかだけを気にしている。逆にいえばそうした客層をいかに利用するかを考えねばならない。あるいはそうしたこと以前に、単純にわたしが余計なことをしないほうがいい、というだけの話かもしれない。いい作品がきたら余計な小細工はせずにばーんと載せる。原稿を受け取って入力し、見栄えを整え次第、即座に。作家のタイミングが正しいタイミングなのだ。無能の浅知恵はろくな結果にならない。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
ぼっち広告