杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第281回: 週刊のび太

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2020.
10.04Sun

週刊のび太

最近よく週刊のび太を思い出す詳しくは Google 検索していただきたいが身につまされるどころの話ではない読者には一目瞭然へたくそである作品が著者である発行人の目にはほかの掲載作と同様の傑作に見えているのび太の自己愛による歪んだ認知が笑いを誘うエピソードであるここ三ヶ月のアクセス履歴を確かめたもっとも読まれた記事は柳楽先生の第二回だだんとつだ第一回がそれほどでないのは先生ご自身が共有されたのがなぜかサイトトップの URL だったからである次に閲覧されているのはうへさんの記事一覧だ記事単位でもっとも閲覧されているのは諸屋さんついでイシュマエル氏だうへさんはとにかくどの記事もよく読まれている若林さんも新章が公開されるたびに大きな反響がある投稿頻度が高ければさらに読まれていたろう戸田さんの最後の投稿は一年前でそれ以前の記事は単行本化されたので商品紹介ページにリダイレクトしてある閲覧数トップに顔を出さないのは単純にそれだけが理由で連載されていた当時は柳楽先生に匹敵するほど読まれていたそこで大宇宙の大怪魔ならぬGONZOである順位をかなり下のほうまで執拗に見ていかなければ出てこないわたしが書くものの読者はいいとこ六人で内訳はそのときどきで移り変わる四年前は悪意でストーキングする人間が大半だったいまはおそらくうへさんと諸屋さんと戸田さんが施しのような親切心で閲覧してくれている残りの三人もきっと知り合いだ単行本の読者はもうちょっと多いけれどそれも何度か広告に金を投じたからにすぎないソーシャルメディアでもブログでもだれにも共有されないのがその証拠だ普通ならどんな無能のゴミでも星を散りばめたレビューが複数つくものだがそれもない筆名を変える前は星ひとつの著者の人格否定をしたいがために実際には読まずにあたかも読んだかのように貶めるレビューがついたそんなことになるくらいならレビューなどしていただかなくて結構だその頃に面倒くさい絡まれ方をされがちだったので日記はむしろ客を追い払う書き方をしている自分だけわかればいという書き方だ小説はそうではない言葉と物語が好きなら楽しめるように書いているつもりだなぜ読まれないこれだけ努力してどうしてだれからも評価されない答えは読者の声にある耳を傾けてみようではないか

すばらしい雑誌だのび太のまんががなければもっとすばらしい。」
これからも買いたいとおもうただしのび太の連載をやめれば。」
のび太のまんがをとりはずせるようにしてくれ。」

 ⋯⋯わかったよわかりましたよ歪んだ認知にありもしない価値が見えているだけだ牡丹灯籠の映画のように骸骨を抱いているのだ助けてくれる坊さんはいない。 『GONZOは確かに明らかな失敗作である。 『セバスチャン・ナイトの真実の生涯に出てくるちょっとしたギャグを全編にわたってやり倒しましたというアクション小説になる予定で、 『ぼっちの帝国に較べるとくそだゴミ以下だ要するに才能がないのだ二十代で書いたものではPの刺激がいちばんましだホラ大と幻冬舎で最終乱歩賞で二次選考止まりだったわたしは林真理子の本を読んだことがないのに林真理子はわたしの本を読んだことがあると考えると少し愉快になるがたぶん実際は読んでいまい荒俣宏さんは読んでくれた)。 三十代は鬱がひどすぎて悪魔とドライヴしか書けなかった高校教師が女子生徒に強姦されて自殺する話で宣伝をがんばったのでいちばん金になったいま調べたら 89,336円を稼いでいたペドフィリアが何か勘違いして喜んだのだろういま思えばゴミとしてはましな部類といった出来だ。 『ぼっちの帝国が四十代の最高傑作ということになるが全生涯でも最高傑作ということになりそうな気がするいやこれはひどいな28,389円しか稼いでいない完全に広告費のほうが高くついているまじかこれはがっかりだ。 『Pの刺激の 34,741円よりひどい前年のゴミ逆さの月19,603円と一万しか違わない出来でいえば悪魔とドライヴの三十倍は稼いでもいいのにああそれでやる気をなくしたのか思い出した閲覧数にせよ単行本の稼ぎにせよかくも数値で価値のなさが裏づけられ無能が露呈しては己をごまかしようがないこれ以上恥を晒してどうなるのだ。 『GONZOの連載はしれっと削除してはじめから存在しなかったことにしたほうがよいかもしれない実際人格OverDrive は気味の悪いほど週刊のび太に酷似しているさらにひどいといっていい寄稿者はいずれも AI による模倣などではなく独創的な生身の天才だそしてわたしは十歳の小学生ではなく四十五歳の中年なのであるしかし四十五歳ののび太にさえなれなかったゴミ以下のくそ中年はわずか二号で廃刊にしたりはしない寄稿者の作品を読みたいからだわたしと同じような趣味の読者がいると信じるしわたしがいいと信じる作品は書かれるべきだと信じるからだ傑作を世に広めたいと願うからだ一方わたしの書くものをそのように思ってくれるひとはいないわたしはだれからも愛されたことがない生まれてこの方いまだかつて一度たりとも好意的に評価されたことがない価値がないからだそう結論すると何やら自然と頬が濡れるのである


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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