D.I.Y.出版日誌

連載第290回: コミュニティを越えて

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2020.
09.30Wed

コミュニティを越えて

八月から紹介料が発生していない小遣いを稼ぎたいわけではなくてリンク経由での購入がないと PA-API が使えず結果として本の紹介ページに価格や出版社の表示ができないので困っている納得いかないのは寄稿者の書評からは購入アクションが発生しないことだ労せずして儲けなしというのはそりゃそうかもしれないけれど寄稿者の記事はわたしのがゴミに見えるほどに優れているし読まれてもいるのに購入実績に繋がらないサイトのつくりに問題があるからだ正確にはリンクは踏まれているけれどもそこから購入に至らない何かしらミスマッチなり導線の断絶なりが生じているのだ指名買いの客が検索して訪れた場合は書評の書き手わたしのことだに関心がないしもともと買うつもりだから購入に至るけれど書き手寄稿者のことだに関心があって読みに来た場合は読み終えたらそこで目的が果たされるのでわざわざその先のアクションを起こさないだとすると寄稿者の背景にある読書体験に読者の目を向けさせる導線が必要かもしれない寄稿者の才能や傑作がいかにして生まれたのか知りたい読者は多いはずだ今月は自著の Kindle 版の単品購入が多かったなんの根拠もない想像だけれどもおそらく柳楽先生かどなたかが身近な方に勧めてくださったのではないか普段は紹介ページ経由で買われるのに今月はまったくリンクが踏まれないあるいは自著の広告に金を突っ込むか否かが影響するのかもしれないだれだって知らない本は買いたくないあらかじめ調べていいと思ったら購入するそれでこれまでは紹介料が発生していたのだろうモール内の優先表示や関連付けに誘発された購入は客層のミスマッチが生じやすいこちらとしてもよく知って納得してから買っていただきたいので望ましい循環だったその意味で広告は継続すべきかもしれない一日百円の広告でも月間にして千円は kindle 版の収益に差が出る毎月二千円は損をする計算になるが出版とは本来がそのようなものだ商売ではないのである本のメタファに徹したこれもお薦め表示の効果は明らかにあったそれまではお目当ての記事のあとは即離脱されていたのにサイト内を巡回してもらえるようになったいま人格 OverDrive でやろうとしているのは結局のところよそのコミュニティで育まれた評価のフリーライドなのかもしれないかといって人格 OverDrive をコミュニティにするつもりはないそれはだれにも求められないわたしのような無数の無名人を踏み台にした搾取構造に他ならないからだnote がいい例だいずれは人格 OverDrive から有名になる才能が現れればいいなと思うけれどそれは決してコミュニティとしてではないあくまで作家本来の価値を伝えることができた結果としてだ価値の見極めと見せ方にはわたしが全面的に責任を持つ魅力が感じられなければそれは見せ方が悪いからだ


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。