人格 OverDrive はどうやら人気サイトになりつつある。 いうまでもなく傑作が連日のように寄せられるからである。 やっぱりうへさんは腕を上げている。 最初からうまかったとはいうものの、 自分を落とす笑わせ方がさらに洗練されてきた。 こんな才能がどうしていままで東京の大出版社に見出されずにいたのだろう。 もし該当する方がここを見ていたら、 恥ずかしいと思ったほうがいい。 いっとくけどね、 彼は金になるよ。 わたしではなくあなた方がその気になればね。 前にわたしがこのような発言をしたのは十市 社とヤマダマコトについてだけだ。 正確にいうと十市 杜については世界文学級の才能だといったし、 ヤマダマコトについては大金になるといった。 後者がプロにならないのはあなた方に関わるより彼ひとりでやったほうが儲かるからだ。 いいですか、 長崎の出版社 「編集室 水平線」 の西 浩孝さんは諸屋さんを見出しましたよ。 あなた方はいったい何をやってるんですか。 ご寄稿いただいている才能には本職のライターさんもいらっしゃるからあんましこういうこと書くべきじゃないんだけどね⋯⋯わたしの意見はわたし個人の意見でしかなくて、 寄稿者とはいっさい関係ない、 ということはご理解いただきたい。 寄稿者のみなさんはそれぞれの固定ファンをお持ちなのだけれど、 現状はそのファンはごひいきの著者しか読まず、 そこから別の著者に 「ついでにそっちも読んでみようかな」 と関心を向けることは、 まずない。 これをどうにかできないか。 当レーベルには明確な色があって、 ひとつが好きならほかの著者も好きなはずなのだ。 サイドバーに 「これが好きならこれもお薦め」 的なサジェストを表示するのがひとつの手だが、 わたしはサイドバーそのものを憎んでいるし、 読書において情報量が多くなりすぎるのは、 気が散ってこれまた好みではない。 盛り込めるとしたら著者紹介の下にある広告スペースだ。 ここにほかの連載のバナーをランダム表示させればいいのかもしれない。 でもそれはそれで何か違う気がする。 馴染みのある UI ではないからだ。 あそこにあるべきはやはり広告バナーだ。 横長のサジェストなんて見たことがない。 トップページの閲覧率はやはり低い。 ここからご贔屓の連載を探す読者はほとんどいない。 まずはソーシャルメディアでの著者自身の共有から飛んで、 それだけ読んで満足して帰ってしまう。 その前に別の著者へ関心を惹きつけなければならない。 悩んでいたら寄稿者の戸田鳥さんからトップページに索引的な機能がほしいとご意見をいただいた。 うーん⋯⋯まずテキストは増やしたくない。 スマホで直感的に操れないからだ。 画像も増やせない。 いますでに重くなりすぎている。 サイト紹介のアイコンは現状でも著者一覧、 本の網、 コンテンツ紹介を兼ねた出版物一覧、 にそれぞれ飛べるけれどもわかりにくい。 ぱっと見てわかるものでなければならない。 トップ画像をカルーセルにするのはひとつの手だけれど⋯⋯実際、 前はやっていた。 しかしなるべく使いたくない。 落ち着きがないでしょ、 あれ。 重くなるしソースコードが汚れるからというのもある。 ハンバーガーメニューも大きらいだ。 ウェブマガジンの UI ってどうあるべきなんだろう、 とぐぐってみたけれど、 どのサイトも重い。 重すぎる。 表示にどれだけ時間かかってんだよ。 暇人のわたしでさえそんなには待てない。 人格 OverDrive でそんなあほなことをやらかしたら寄稿者のせっかくのファンも逃げてしまう。 ざっと見たうちでは WIRED が比較的ましだけど、 あれもうちより重いしまだごちゃごちゃしている。 もっとすっきり単純で、 かつ一覧性があるものがいい。 ⋯⋯というわけでさんざん悩んだ挙げ句、 本のメタファーに寄せたランダム表示リンクをトップページと各記事の下部に載せることにした。 これが正解かはわからない。 とりあえずしばらくこれで行ってみる。 スマートフォン以降のウェブと本との差違はどんどん狭まっていくと考えている。 本を本たらしめているのはパッケージによる読書体験と可搬性なのだけれど、 それはあくまで概念としてのパッケージと実用上の可搬性なので、 スマートフォンで閲覧する以上は概念的にパッケージ化できてさえいればウェブサイトも本になり得るのだ。 人格 OverDrive の UI はその考えに基づいてデザインしている。 その路線をちょっと推し進めてみた感じだ。 ちなみに新規参加者はいつだって募集中なのだけれど、 正直いまの寄稿者が全員すごすぎて同水準を期待するのはむりだろうという気がしている。 商業出版があほらしく見えてくるレベルだからね。 いや、 負けないぜという猛者はふるってご応募ください。 原稿料は出ません。
2020.
09.26Sat
(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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