イシュマエル・ノヴォーク

コイディシュ・ブッフ

第3話: ベルゲンソンよりギンプルへ

イシュマエル・ノヴォーク書いた人: イシュマエル・ノヴォーク, 投稿日時: 2020.06.23

 親愛なるシャバタイ・ギンプル

 ヨハネスブルグの生活、なにより商売が順調だ。順調極まりないとすら言える。かつて、君は反対したけれど、今でも反対しているのかな? ここは素晴らしい。ワルシャワに比べれば遥かに暑いが、それでもお釣りがくる。君は反論するか、もしかすると怒りさえするだろうが、ワルシャワもアメリカも、いるべき場所じゃなかった。

 我々は流浪の民だ。らしく振舞ったほうが賢明だろう。

 こちらは先日のディンガーンの日でてんてこ舞いだった。ディンガーンの日というのは、ボーア人とズール人が戦い、それを記念した日のことで、この戦いでカフェルとの関係がしっかり叩き込まれた。主従関係と言っていいだろう。こちらはハヌカの用意も覚束なくなるような忙しさだったよ。もちろん、ハヌカをおろそかにしたりはしないが。

 こちらでは奇妙な話を山ほど耳にする。毎日のことなので、全てを覚えているわけではないけれど、君なら興味を引かれるような話ばかりだ。取材という形でこちらに来ることはできないかな?

 シュモクドリという鳥がいる。コウノトリに似ている鳥だが、この鳥はしばしば奇妙な行動をする。水溜まりの前に立ち、水面に映された自分の姿を見るんだ。カフェルたちはシュモクドリをマシアノケと呼んでいて、未来を見通すと考えている。だから、離れて様子をうかがう。予兆や前兆を読み解こうとしているんだ。

 彼らのすることはわからないことばかりだが、興味を引かれるだろう?

 取材したくなったら、是非、伝えて欲しい。

 サウス・ブロンクスの同胞たちによろしく。

ロゼ・ベルゲンソン


『ロクス・ソルス』という同人小説サークルで活動しています。それから、ジャズピアノの演奏活動をしています。気が向くと絵を描いたりします。
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