結婚して家族をつくらねばならぬとか、子を産み育てねばならぬとかいうイデオロギーは、家庭が国家の権力構造の最末端組織だった時代のものだし、若者は異性と恋愛せねばならぬというイデオロギーはバブル時代の商業主義の産物で、いずれも過去のもの。時代に合わないので、やめてもいいのではないか。対人距離を保てば他人と知り合えず濃厚接触を避ければ恋愛も成立しない。家に留まれば共有するだけの経験も生じず関係も育めない。遠方から大勢を集める結婚式はありえない。感染リスクを思えば妊娠はできず、医療崩壊した病院で出産もできない。「密」を避ければ保育園には預けられず自宅で働けない。収入が得られず補償もないから子を育てられない(そもそも金のない人間は結婚しない)。授業をやっていないし学費も払えないので教育は受けさせられない。要するに旧来の家族観がまるで成立しなくなった。価値観は逆転し、これまで批難の対象だった「表に出ない」「ひとに会わない」「働かない」……すなわち「ぼっちのひきこもり」が推奨されるようになった。なのになぜわざわざリスクを負ってまで過去のイデオロギーに固執するのか。「ひとり」を愉しめばよいではないか。「ひとりであること」は何よりも尊重されるべき権利だ。ひとりの人間が尊重されない世の中が改まるとよい。「ひとりであること」に向き合うには読書が最適だ。疫病禍さなかの大型連休は、生き方を見なおすにはよい機会ではないか。
……というわけでポスト・コロナ時代の生き方について書かれた本がこちら、という宣伝でございます。どうぞよろしくお願いいたします。