D.I.Y.出版日誌

連載第236回: D.I.Y.出版と広告、そしてソーシャルメディア

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2020.
04.08Wed

D.I.Y.出版と広告、そしてソーシャルメディア

経済効率の最大化ばかりで読者を向いていないインターネットモールの関連付けと違って生身の人間がおこなう実店舗のレコメンドは優れているという賞賛を実店舗に勤務する書店員さんの体験談を引用しつつツイートしたのであるするとまさにその書店員さんから蔑みに満ちた叱責を受けたあべこべに実店舗を批難したかに受けとられたのであるやはりソーシャルメディアは苦手だ一事が万事文意が伝わったためしがないそのあたりがわたしの本が読まれず貶められる理由なのだろうソーシャルメディアは世間普通のひとびとが使うものである彼らと同格になったかに錯覚して、 「いいねで好意の表明をすると冷ややかな悪意が返ってくる何こいつキモいという具合であるとりあえず今後は偉大なる某モール様のことは偉大なる某インターネットモール様わかりやすく記述しよう新刊書の実店舗ではもう買い物しないアニメ風イラスト表紙の本やヘイト本ばかり並ぶ店で会話を成立させる自信がない読んできたものが違いすぎる幼少時から何を話してもだれにもまともにとりあってもらえず貶められて育ったので蔑まれることに過敏な人間になってしまった事情があって伏せざるを得ない書き方をしてそのために誤解を招いたのはしょうがないにせよわたしを難じる曲解が大勢に共感されるのを見てしまうと世間がおそろしくなる人間は意思疎通のかなわぬ昆虫のようだ窓に衝突をくり返す蜂を外へ出してやろうとすると攻撃されたと思われて刺されたりするたかだか一度いやな思いをしただでこの騒ぎよう他人にどう思われようが好きに生きねばならぬのにつまらぬことをいちいち気にしてクヨクヨするのがわたしの悪い癖だ昨夜のつづきを書くつもりだったが気が滅入った手元の瓶にはまだ残っているぐいっとやって元気を出す下戸にはウィスキーがちょうどいい飲みすぎる畏れがないからだええっとなんだっけそうだ広告の話だった五年ほど前からあれこれ試しているFacebook は一日五百円でもそれなりに効果がある百円でもやらないよりはましだしかしあそこには年寄りしかいないしいいねが集まるばかりで読まれはしない属性が細かく絞れるのが利点だが個人情報保護の観点からか勤務先企業は選べなくなったわりと低コストでそこそこ楽しめる博打という点では宝くじに似ているGoogle は出稿先が選べるし年寄り以外にも閲覧される肝心の効果はまったくないFacebook よりも高くつくしクリックはされても売上にはつながらない出稿したいサイトがつねに選べるともかぎらないし出稿先をまちがえるとかえって客層が濁る大金をじゃぶじゃぶ投入できるのなら成果も変わるのかもしれないが宝くじめいたささやかな楽しみは得られない暴力団や起業家の博打にまぎれこんだ素人のような気分にさせられるみるみるうちに金が減り売れない上に客層が濁る偉大なる某インターネットモール様長えなは客筋がよくないので可能ならよそから招き入れたい実際には店内を巡回する客のみが客なので結局のところストア内 SEO のみが有効だそこで偉大なる某インターネットモール様だから長えって内部での広告枠を仲介業者を通じて買ってみたところ金がかかるばかりだった使い方を改善したところで当然ながら客筋改善はまるで見込めないFacebookGoogle偉大なる某いずれもだめそこで先日はじめて twitter 広告を試したのだがこれは最悪だった糞の役にも立たないいいねに無駄金を投じるだけのお粗末な代物だURL はクリックされないしまして本など読まれないおまけにそのいいねでさえも Facebook と同程度を得るのに十倍の金がかかるまったくの虚無に金を投げ棄てるようなものである金は音もなく吸い込まれるもう二度と試さないやりようによって可能性を感じるのは偉大小銭でそこそこ楽しめるのが Facebook金がかかり客層を濁らすばかりなのが Googleソーシャルメディアの餓鬼どもは一銭も出さないと学べるのが twitterという結果であったD.I.Y. 出版に関心のある諸君参考になりましたか? ならないねではまた明晩鬱や疫病に殺されていなければの話だが


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。