D.I.Y.出版日誌

連載第236回: とりあえずの挨拶

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2019.
10.30Wed

とりあえずの挨拶

暫定的に変な挨拶を試している杜昌彦です印刷版の申請をしたBeatles のパロディとしてはまずまずの装幀だ電子版より笑える笑うのはおれだけだが来月なかばには販売開始されるはずだ例によって販売前に見本を取り寄せて校正したりはしなかった不注意優勢型の ADHD なのでそんなことをしても役に立たないここ数年書いてきたようなごく短い中編なら数カ所の誤りだけで済む十四年ぶりに長編と呼べる分量を書いてみるとやはり個人でやれる範囲には限界があると感じたどうしたって自力では気づきようのない綻びが生じる他人のそれもプロの目が必要だ編集者や校閲者がかつてそうした問題を解決とまではいえずとも改善する手立てを構想した厭がらせや脅迫に遭い断念せざるを得なかったさすがに三年も経つと状況が変わるあれだけ大勢から憎まれ人格否定されたのが嘘のようだやはり KU 上陸が大きかった大手出版社もようやく本腰を入れつつある再挑戦するとしたら本の網の精度を高めてからだろう複数のタームが重複したものを優先して表示させたい現状はひとつのタームしか表示できないターム自体に優先順位を付与することでまぁまぁそれっぽい似ているを実現している理想通りにできれば作風をマッピングできる分布図のように視覚的に把握できればなおよいある著者の本を気に入ったら似た作風の著者を探せるそういうのを求める意見をつい最近実際にいくつか目にしただったら三年前になぜやめさせられたのか理解できないが世間とはそういうものなのだ口先だけで済むからこそだれもが好き勝手にあったらいいなを述べる実際に具体的な動きを見ると不安になり群がって躍起となって叩き潰すとりわけそれが権威者によってではなく個人によってなされるのであればそういうものなのだ当時構想していたツールにはほかにもさまざまな目論見があった総じていえばインディ文学をブランディングすることとそのための必須条件としての品質向上がその試みでは期待できるはずだったいまはそれを極めて個人的な場でいかに転用するかに腐心している極めて個人的というのは何をやったところでおれ以外そのことを知りようがないからだ広告に投じる金もないしソーシャルな技能もないもとよりそんな力があればもっとましな人生を生きているそこまでして読まれたいわけでもない他人に関わるとろくなことがない耐えがたい眠気に促されて今夜はここまでとするおやすみ全世界!


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。