D.I.Y.出版日誌

連載第212回: 好きに生きる

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2019.
10.10Thu

好きに生きる

こと道具に関しては新しもの好きはばかだと思っていてとりわけ mac 関連については新製品をやたらに礼賛する信者は信用ならないと考えているましてや安定して使えている OS を更新するなどということは死んでもやりたくない⋯⋯のはずなのだがなぜか昨夜バッジのの表示をわずらわしく感じて更新をかけてしまったセブンのお惣菜が旨くて飲み過ぎたせいかもしれない下戸なのにおかげで Medibang Paint が使えなくなった起動と同時に落ちる昨夜まで過集中と強迫衝動で取り組んでいた装画をいじれなくなってわれに返ったゴミ以外の何ものでもない事実にいやでも思い至ったいまでも着想は悪くなかったと信じているでも現物がゴミ以下である事実はごまかしようがないあの表紙はだめだ。 『Pの刺激KISS の法則は自分でやったにしてはまずまずの出来だったあれは誇りにできる昨夜までやっていたぼっちの帝国は見るだけでいやな気分になる自己肯定感いいかえれば自己満足のためだけにやっている見るだけでいやになるもの誇れないものを装画にはできないというわけで没にした昨日までの投稿ではお見苦しいものをお見せして失礼しましたきょうはファミマのお惣菜で飲んでいるので大丈夫だ普段は 7&i のファンだが伊藤忠商事あなどれないこういう著者の人格を前面に出した文章は貶めようとする輩を集めるので本来は開陳すべきではないのだがもうどうでもよくなったというか本業で生き恥をさらして同僚たちから溜息やら蔑みのまなざしやらを浴びて無能のくせに厚かましく給料もらって生き長らえてそれでいてプライベートでもわざわざ蔑まれるようなふるまいをするってどうなんでしょうかねそれを考えるとなんでおれ出版なんかしてるんだろうと思いますね小説を書いちゃうのはしょうがないわそれは精神病なんだからでもそれは他人に見せるべきものではない書きあがったら燃やしてしまうのが正しい態度なのではないかサリンジャーはそうしたとかしないとかどうでもいいエゴサーチした結果では昨日の時点ですでに淡い焰のキンボートみたいなやつに補足されたような気がするのでぼっちの帝国を出版するのはやめた本業で充分にだれからも蔑まれているのだからわざわざそれ以外でまでいやな思いをすることはあるまいおれのことはほっといてくれ残りたぶん二十年くらいは生きられるのではないかと考えているその時間は愉しく有意義に使うさしあたり二十年前に読んで感銘を受けた小説をいくつか読み返すつもりでいるおれを貶めたいやつらにみすみす餌を与えるような真似をするものかざまをみろ


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。