妄想中年日記

連載第214回: 好きに生きる

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2019.
10.10Thu

好きに生きる

こと道具に関しては新しもの好きはばかだと思っていて、とりわけmac関連については新製品をやたらに礼賛する信者は信用ならないと考えている。ましてや安定して使えているOSを更新するなどということは死んでもやりたくない。……のはずなのだが、なぜか昨夜、バッジの「1」の表示をわずらわしく感じて更新をかけてしまった。セブンのお惣菜が旨くて飲み過ぎたせいかもしれない、下戸なのに。おかげでMedibang Paintが使えなくなった。起動と同時に落ちる。昨夜まで過集中と強迫衝動で取り組んでいた装画をいじれなくなってわれに返った。ゴミ以外の何ものでもない事実にいやでも思い至った。いまでも着想は悪くなかったと信じている。でも現物がゴミ以下である事実はごまかしようがない。あの表紙はだめだ。『Pの刺激』と『KISSの法則』は自分でやったにしてはまずまずの出来だった。あれは誇りにできる。昨夜までやっていた『ぼっちの帝国』は見るだけでいやな気分になる。自己肯定感、いいかえれば自己満足のためだけにやっている。見るだけでいやになるもの、誇れないものを装画にはできない。というわけで没にした。昨日までの投稿ではお見苦しいものをお見せして失礼しました。きょうはファミマのお惣菜で飲んでいるので大丈夫だ。普段は7&iのファンだが伊藤忠商事、あなどれない。こういう著者の人格を前面に出した文章は貶めようとする輩を集めるので本来は開陳すべきではないのだが、もうどうでもよくなった。というか本業で生き恥をさらして同僚たちから溜息やら蔑みのまなざしやらを浴びて、無能のくせに厚かましく給料もらって生き長らえて、それでいてプライベートでもわざわざ蔑まれるようなふるまいをするってどうなんでしょうかね。それを考えるとなんでおれ出版なんかしてるんだろうと思いますね。小説を書いちゃうのはしょうがないわ、それは精神病なんだから。でもそれは他人に見せるべきものではない。書きあがったら燃やしてしまうのが正しい態度なのではないか。サリンジャーはそうしたとかしないとか。どうでもいい。エゴサーチした結果では昨日の時点ですでに『淡い焰』のキンボートみたいなやつに補足されたような気がするので『ぼっちの帝国』を出版するのはやめた。本業で充分にだれからも蔑まれているのだからわざわざそれ以外でまでいやな思いをすることはあるまい。おれのことはほっといてくれ。残りたぶん二十年くらいは生きられるのではないかと考えている。その時間は愉しく有意義に使う。さしあたり二十年前に読んで感銘を受けた小説をいくつか読み返すつもりでいる。おれを貶めたいやつらにみすみす餌を与えるような真似をするものか。ざまをみろ。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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