D.I.Y.出版日誌

連載第202回: 垂れ流す

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2019.
07.16Tue

垂れ流す

日記を読みに訪れるお客様もいらっしゃるようなのでたまには更新する。 『本の網記事ではアルファベット最初の文字からはじまる偉大なるモール様の API を勿体なくも利用させていただいているつまりリンクを踏んで買い物をしてくださる奇特な方のおかげで商品価格や出版社名が表示できる過去 30 日間にわたって幸運に恵まれなかったおかげでエラーが出たどなたかリンクを踏んだ上でどんな安い商品でもいいのでお買い求めいただけませんかねたとえばこんな商品はいかがでしょうペイパーバック版は 16 日中ならプライムデーで 10% 還元らしいですぜ

こんなことでいちいち振りまわされるようではやはりアルファベット最初の文字からはじまる偉大なるモール様に依存した仕組みには限界を感じるわかっちゃいるけどいまさら書き換えるのも面倒なのでそのままとするあしたから五日間夏休みをもらえたので第二幕を書き終えるつもりだそのつもりではいるのだが今夜は連休前ならだれしもそうするように飲んだくれている下戸なのであした問題なく書けるかどうか怪しい書けたところでだれも読まないのだから同じことではある同じことではあるがやらぬよりはやったほうが自己満足できる過去のごみファイルを漁っていたらこんな画像が出てきた

ぼっちの帝国を書き上げたらこの手の画像をつくって Google 広告を出すのもいいかもしれない校正に十五万広告に五万は出すつもりだ出したところで自分しか買わないのはわかっている二十万をドブに棄てるのだ伊達や酔狂でやっているどうせいつかは死ぬのだ稼いだ金で何をしようが勝手だ小説を書くようになってからこのかた自分の才能を疑ったことは一度もない歴然と目に見えるものを疑うことはできないだからといって才能と作品の価値や完成度とはまた別の話でこれまでに書いてきたものがありのままで優れているなどと勘違いしてはいないまぁ大概ゴミだ。 『ぼっちの帝国はこのまま意図したとおりに書き上げればゴミにはなるまい見えるものに根拠などないあるように感じているだけだ客観的に存在しうるかどうかはまた別の話だ作品の価値と社会的な成功にもまたいっさい関係はないそこには世渡りの才覚が必要でおれはそのいっさいを持たないいっさい持たざれば社会的には存在し得ない社会的には完全なる無能だそんなことはわかっている自己満足さえできればよい。 『ぼっちの帝国は冒頭で落としてそこから持ち上げて持ち上げててっぺんまで上げたところで一気に奈落の底まで突き落とすつくりだ落ちるところに差し掛かったのでしらふではつらくて書きようがない去年の夏に逆さの月をやったときにはこれは二十年前に横溝賞か何かの三次止まりだったものの改稿なのだが下戸なのに 700ml のジャックダニエルを二日で一本あけるはめになったおかげで激太りして戻すのにえらい苦労をした今度はそのような目には遭いたくない酒の臭いをさせてジムに行くわけにもいかないどうなることやらとにかく九月中には書き上げることを目標としている電子版はあとまわしにしてペイパーバックを先に出すつもりだできれば同時に他人の本も刊行したいペイパーバック版を出すのに利用している業者が複数著者への印税の配分に対応したからだというか連中はそのように主張している期待すると決まって失望させられるので信用はしていない他人に書いてもらうには印税以外にも金を出さねばなるまいが残念ながらその余裕はないのでおそらく夢想に終わるだろう。 『ぼっちの帝国と日記はおおむね五人ほどが読んでくれているだいたい知り合いだ。 『本の網は検索経由でぼちぼち読まれている特定のタイトルに閲覧が集中する新しい本の記事を更新してもほぼ読まれない本の感想から自著の購読につなげることができればと思うのだが現状は成功していない


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。

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