妄想中年日記

連載第163回: 新しい習慣

杜 昌彦書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2019.
02.02Sat

新しい習慣

昨夜は次の一手、次の一手とあたかも何か策でもあるかのように連呼してしまった。当然そんなものはない。あっても書くものか。つまらない連中が群がってきて潰されるのにはうんざりだ。しかし今回は実際に何も考えていない。何かしなければとの思いはあるが具体的にやれることはない。そもそもなんでこんな文章を書いているのか。毎晩欠かさず日記をつける習慣を試したかっただけだ。新しい習慣をはじめるのが好きなのだ、たぶん。ジム通いだってそうだ。筋トレも有酸素運動もすっかり生活の中心に居座った。いまでは通いはじめる前の生活が思い出せない。日記もそうなるかといえばそんなことはなかろう。私生活を覗き見たがる輩が群がって陰口をいいふらすばかりだ。たまに自分の文章を読み返すと無理はないと思えるがしかしそんなことはどうでもいい。策はないが考えていることはある。あるにはあるのだが書けるほどのことはひとつもない。たとえば投稿を募って書き手をブランディングするツールの実装を数年前からあれこれ試している。参加しやすくするとUIがどうしてもソーシャル寄りになり、文学史上の偉大な作家たちと投稿者とを同列に並べる意図が機能しなくなる。ソーシャルな機能をすべてバイパスしてバックエンドも完全に塞いだ。セキュリティ上の都合とUIの単純化のためだ。twitterログインなど可能にするとろくなことがない。登録は手動、ログインもメール経由でいちいち個別に承認するようにした。フォームに画像と文章を貼りつけてボタンを押せば縦書きの連載小説ができあがる。著者名をクリックすれば著作一覧ページへ飛ぶ。著作はタームを付与すれば古今東西の名著と関連づけられ、特集ページも自動生成される。将来的には投稿した小説をepubにまとめられるようにするつもりだ。ソーシャル寄りのUIを避けたことで記事をあとから編集できなくなったのが難点だが、あとから直せないのは雑誌に投稿したって同じだ。小説連載機能は「本の感想」機能にも応用できる。現在はバックエンドのフォームにいくつか入力するだけで自動的にページが生成されるようにしているが、これを来訪者向けに投稿フォームとして開放することは技術的には可能だ。このシステムを数年前に意図した通りに運用すればかなりのインパクトになるだろう。しかし、やらない。とりあえず実験しているだけだ。縦書き連載機能は次の小説に使うことも考えているが何しろアーヴィング方式で結末から書くことを検討しているので、どうなるかわからない。そもそもWordPressでまともなepubを生成する方法がない。さまざまなプラグインを試したがどれも使いものにならなかった。自作する知識などかけらも持ち合わせてはいない。このウェブサイトはぐぐってコピペのくりかえしで既存テーマを魔改造したものにすぎない。逆にいえばデジタルデバイドに取り残された痴呆中年でも努力すればそのくらいはやれるのだ。肥満だってたかだか二ヶ月ジムに通っただけで解消された。深く考えることはない。職場での無能はおれには出版があると思えば気にならないし、一冊も売れないのはこれで喰ってるわけじゃないと思えば気楽なものだ。どこで何をしてどう生きたって嗤われるのだ。生きたいように生きればいい。


(もり まさひこ、1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、藤井太洋氏、十市社氏らによる指導を受けた『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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