D.I.Y.出版日誌

連載第157回: 第三夜

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2019.
01.29Tue

第三夜

ストアではどうしたって関連づけ経由で読まれる大手企業による商業出版でないものは十把一絡げで素人のゴミとして関連づけられるモールを利用する以上その制約から逃れようがないのであればかつて素人のゴミであったものを商業出版とは異なる優れたものにすればよいのであって三年前に幾人かの協力を得てその試みに着手せんとしたところまだ何ひとつ実現せぬうちに努力せずにぬくぬくと素人のゴミでいつづけたいそうでありながら愛されたい金を稼ぎたいというひとびとの猛烈な憎しみを買いさまざまな場所で陰口をきかれたのみならずサイトのバックエンドは攻撃され人知れず明確な脅迫を受け協力者を身の危険に晒しかねない事態となって断念に追い込まれた加害者たち二次加害者たちはそれみたことかと群がって囃し立てここぞとばかり公然と人格否定を行ったちょっと目立った動きをすると自分に断りなく商売するなと陰で恫喝する癖のあるとある著名人も率先してその発言力を行使したソーシャルメディア・サービスは無名人への暴力を容認し幇助さえするので発言はいまだ残っている)。 実際ニーズとしてもストアの客層はすでに述べたようにいまだ昭和の加齢臭を漂わす差別的な中年男性が幅をきかせているのだがそうした連中はプロフェッショナルな小説を好まずラブレスを音が歪んでいるから駄作と評するような読み方をし一方で素人のゴミをこそ親近感から屁理屈をつけて高く評価する傾向があるそうしていれば本を読めない無能を正当化できるばかりか格の高いものに見せかけられるからである読み放題サービス開始以降は大手企業が重い腰を上げつつあることによってその傾向は変わりつつあるが基本的な客層までごっそり変わったわけではないしたがってゴミを垂れ流して愛されたい素人と素人のゴミを好む客とが仲よく楽しんでいたところにその絆やつながりの楽しみを奪わんとするかに見える行為をしたのであるから非難され恨みを買い完膚なきまで叩き潰されたのはけだし当然であったストアの関連づけが攻略不可能であるならほかの途を探らねばならないそこで⋯⋯とようやく本題に入らんとして時間切れとなった明晩はつづきを語りたい


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。