D.I.Y.出版日誌

連載第152回: 人格OverDriveが選ぶ2018年下半期Best20

アバター画像書いた人: 杜 昌彦
2018.
12.27Thu

人格OverDriveが選ぶ2018年下半期Best20

ほんとうは小説のベスト 20 をやるべきなのだろうけれど年間 30 冊ちょっとしか読んでいないので企画が成立しないんですよ読むのも書くのももっと速ければなぁ今年 7 月以降に Spotify で聴いた音楽をまとめましたリリースはそれ以前のもあると思うほとんど備忘録みたいなもんですね数年後に自分で読み返して懐かしく思うような上半期と同じく 1 位から挙げていきます

第 1 位

T. Hardy Morris “Dude, The Obscure”

今年はおっさんがブームだった去年気に入った Andy Shauf と同傾向Spotify のおすすめで知ったのだったと思う

第 2 位

King Tuff “The Other”

これも Spotify で知った変な帽子をかぶった変なおっさんが印象的

第 3 位

Hop Along “Bark Your Head Off, Dog”

これも Spotify で知ったような気がする初期の Autour De Lucie を連想した

第 4 位

Bettye Lavette “Things Have Changed”

ベテランなのにイギー・ポップのラジオではじめて知ったボブ・ディランのカバー集らしいが何度聴いてもオリジナル曲のように感じる。 「他人の唄は自分の唄という感じ友人と入ったスタバでかかっていて妙な感じがした

第 5 位

Tom Gallo “Tell Me the Ghost”

チャド・ブレイクがプロデュースしたらしいベッドルームでアコギ一本で録ったとは思えない

第 6 位

Puma Blue “Blood Loss”

若いのに渋い体温が低い感じ

第 7 位

Brother JT “Tornado Juice”

おっさんの生首が宙に浮くジャケットが印象的音は T レックスっぽい

第 8 位

Ty Segall “Freedom’s Goblin”

これもおっさんの生首が飛んでいるSpotify ではなぜか雑音が入るのが残念

第 9 位

Iron & Wine “Weed Garden”

最近こういう静かな音楽が好みだ健康食品からとった名前だけあって聴くと健康になれそうな気がする

第 10 位

Spiritualized “And Nothing Hurt”

ティザー広告がよかった情報を小出しにする感じがPV も泣けたでも実際に聴けるまでが長かったので期待が大きすぎてあれこんな感じ?となったのも否めない

このあたりまではさほど苦労なく決められたこの先の取捨選択に迷う二年使いつづけた Spotify が今年の後半になっていきなりサジェストの精度を上げてきたからだきりがないので 20 位までと決めたはいいが収まりきらない女性アーティストの多くはいまの気分でないので切り棄てたそれ以外も聴き返した回数が少ないものは容赦なく除外した

第 11 位

Sam Evian “You, Forever”

どういうひとなのかまったく知らないが悪くない

第 12 位

Foxwarren “Foxwarren”

Andy Shauf が地元の友人とやっているバンドらしいけれど正直ソロほどではない

第 13 位

The Marcus King Band “Carolina Confessions”

ジャズレーベルのニュースレターで薦められたよい

第 14 位

Jeff Tweedy “WARM”

おっさんの万歳去年のより好きだ

第 15 位

Tess Parks & Anton Newcombe “Tess Parks & Anton Newcombe”

ルー・リードとニコゲンスブールとバーキン昨年のうちからデモを聴きすぎてリリースされた頃にはちょっと飽きていたのも否めない名盤ではある

第 16 位

Manon Meurt “MMMXVIII”

チェコの伝説的シューゲイズバンド待望のフルアルバム五年のあいだに雰囲気が変わってシューゲイザーというよりなんとなく Evanescence みたいになった感じがする

第 17 位

Haiku Garden “Where If Not Now”

スロヴェニアのシューゲイズバンドこんなバンド名なんだし日本で人気が出てほしい

第 18 位

Lucky Brown & The S.G.’s “Mesquite Suite”

何者かまったく知らないSpotify 毎年恒例の年末企画で薦められたBooker T. & The M.G.’s の現代版みたいな音もなんだか古いヴァイナル盤みたいで凝っている

第 19 位

St. Paul & The Broken Bones

これも Spotify の年末企画で薦められた白人のみで構成されたアラバマ出身のソウル・ファンク・バンドだそうだ

第 20 位

Charles Bradley “Black Velvet”

これも Spotify 年末企画で六十年代からつい最近までずっと JB のそっくりさん芸人をやって喰っていたそうだ音も当時のヴァイナル風でこういうの流行ってるのか?)、 もしおれがいま高校生で六十年代ソウルの無名の名盤を発掘したぜといわれて同級生に手渡されたら騙されると思う

ええっもう 20 枚か⋯⋯悔しいのであと五枚だけ

第 21 位

Ex:Re “Ex:Re”

UK の三人組シューゲイズバンド Daughter の紅一点Elena Tonra のソロ名義作Daughter より好きかもしれないEx:Re なる名義は元彼X線をかけた造語であるらしくて40 過ぎのおっさんが聴いたらキモいといわれそうな童貞を威嚇する系の作風なんだろうなと思いました

第 22 位

Mark Knopfler “Down The Road Wherever”

ピンチョンのファンならみんな聴いてる Mark Knopfler40 過ぎのおっさんが安心して聴けます

第 23 位

Rachael Yamagata “Porch Songs”

ほぼ同世代の歌手でずっと聴いてきていていまさら挙げる必要もないかなぁとも思ったけどやっぱり好きなので

第 24 位

幾何学模様 ”Masana Temples”

これまでの彼らの作品でもっとも好きかもしれない現代の若者がヒッピーファッションをしたらそうなりそうな感じではなくてガチで当時の日本人みたいな見た目なのがなんだかすごい海外では人気があるらしいけれど国内の知名度はどれくらいなんだろう

第 25 位

Pinegrove “Skylight”

海外のゴシップ記事で知ったほんとうのところはわからないがバンドのフロントマンが彼氏持ちのファンと複雑な関係になってしまい悩んだそのファンが市民団体に相談したところ売名に利用されてしまって結果だれもが傷ついたというような事件があって活動を自粛したりいろいろあったらしい

うう⋯⋯もう 30 位までやっちゃっていいですか自分で決めておきながら 20 位縛りは厳しかった

第 26 位

Apollo Brown & Joell Ortiz “Mona Lisa”

Apollo Brown はデトロイトのビートメイカーなんだそうなYouTube でお薦めされて去年くらいから聴いていて新作を愉しみにしていた期待を裏切らない名盤Joell Ortiz はEminem 主宰 Shady Records から Royce Da 5’9″Joe BuddenKxng Crooked らとのユニット Slaughterhouse としても名を馳せたハードコア・ラッパーなんだそうだけれど知らないし特に関心はない

第 27 位

Macy Gray “Ruby”

彼女の作品は”The Trouble With Being Myself”が題名も含めて大好きでそれ以降はきらいじゃないけど売れ筋 R&B に無理に寄せているように感じて今ひとつだった今作はひさびさに好きな感じ

第 28 位

Say Hi “Caterpillar Centipede”

ブルックリン出身シアトル在住の宅録バンド三年ぶりの新作去年の二月に活動停止したけれど結局再開したらしい

第 29 位

Andy Jenkins “Sweet Bunch”

これは迷ったすごくいいんだけれどいかんせん地味なんですよMatthew E. White の友だちらしい

第 30 位

Billy F Gibbons “The Big Bad Blues”

ジャズレーベルのニュースレターで知ったよく知らないけれどベテランのブルース爺らしいこういうひげ爺で締めくくるのは悪くない

きりがないのでさすがにこの辺でやめておく来年もいい音楽との出逢いがありますように

人格OverDriveが選ぶ2018年上半期Best20


(1975年6月18日 - )著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『血と言葉』(旧題:『悪魔とドライヴ』)が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。代表作に『ぼっちの帝国』『GONZO』など。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。