杜 昌彦

D.I.Y.出版日誌

連載第144回: 書いている

書いた人: 杜 昌彦, タグ:
2018.
08.14Tue

書いている

この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしていますの表示が悪化したこれまでは Facebook 広告からの流入のおかげで多少はまともな本が表示されていたそれが急にひどいゴミばかりになったFacebook 広告はクリックはされてもコンバージョンに至らなくなったそのせいかもしれない広告を実施している時期は紹介ページの閲覧が増えるいちど紹介ページを見たひとがまた戻ってくる傾向があるようだ。 「広告を見たひとなのか本を読んだひとなのかはわからない広告のリンク先を Amazon に変えると閲覧はなくなるつまり広告によって本への関心を高めることはできている一時期は客層の改善にも効果があった効果が落ちたのはPの刺激』 『KISS の法則の二作を無料化してからだその二作には広告を実施していない無料化するなら広告とセットでなければならないようだモール内での露出だけに頼る本来の客層はきわめて悪い人格OverDrive のコンテンツはそういう場との相性が悪い困ったことにソーシャルメディアとの相性も悪い伝統的な出版方法やマスメディアでの宣伝を使ったとしてもうまくいかないだろうかといって価値も潜在的なニーズもないわけではない可視化されにくいだけだ方法は必ずあるこのサイト自体の集客力を高めたほうがいいんだろうなという気はしている記事の書き方や更新頻度の問題なのはわかっているがさしあたり Google のディスプレイ広告を使いはじめた露出を高める意味では Facebook 広告よりいいかもしれない要するに読書家の目に触れればいいのであって必ずしもクリックされる必要はないそして Google 広告には関心の分野で表示場所を指定できる利点がある

Kindle のおすすめや関連づけがひどいのは品揃え自体が偏っているからだその点にかぎっては Amazon の欠陥というよりも出版社の施策に要因がある新潮クレスト・ブックスの一部が kindle 化されるようになって喜んでいるくらいの次元ではどうにもならない現代のモールは初動の倍々ゲームですべてが決まる黒船上陸時にすぐさま動かずいまごろになってようやく様子見しながら手をつけはじめたありさまでは機動力のある粗悪品に勝てるわけがない大正時代には無名の音楽家に演奏をさせた粗悪なレコードが露店でまともなレコードの三分の一の価格で売られていたそうだルー・リードとジョン・ケイルも五十年代末に似たようなアルバイトをやっていたというスーパーマーケットのワゴンで投げ売りされるレコード流行歌の紛い物を粗製濫造する仕事だそういうところからヴェルヴェッツのような優れたものが出てくるのはまれで多くはただのゴミ以下だったはずだむかしなら粗悪なまがいもので済んでいたところが現代のモールでは内容や品質にはかかわらず表示機会の優位性だけで優れたものとして扱われそれによってさらに表示機会の優位性を雪だるま式に獲得し表示機会において後れをとったものを淘汰する表示機会において劣ったその商品がいくら実際の内容や品質において優れていてもだ

若書きの習作を下敷きにして新作を書いている。 『砒素と携帯ロックンロールという書名はそれなりに気に入っていた二十年前はどんなに自由を奪われてもロックンロールがあればいつだって踊れるというヴェルヴェッツのロックンロールを主題にしていたのでその書名でよかったロックンロールに相当するものが信じられるひとたちだったただし当時でさえその考えには疑問があった。 「信じられるひとなんてものは幻想だとそのときすでにわかっていたなので信じられるひとがいなければ人生はどうにもならないという反語的な考えが実はひそかな主題だったましてやロックンロールがあってもその後の人生はどうにもならなかったなければもっとひどいものになっていたに違いないけれど。 『砒素と古レース毒薬と老嬢)』 を元ネタのひとつにしている点は変わらないので砒素と携帯の部分はいいけれどもロックロールの要素はなくなったそもそも触発された音楽がロックンロールではないOddisee のYou Grew Upプロットはおなじでも狙いが異なるとなると書名を変えねばならない決めかねている


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
ぼっち広告