ひらいて
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ひらいて

華やかでモテる女子高生・愛が惹かれた相手は、哀しい眼をした地味男子。自分だけが彼の魅力に気づいているはずだったのに、手紙をやりとりする女の子がいたなんて。思い通りにならない恋にもがく愛は、予想外の行動に走る――。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。芥川賞受賞作『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに高校生の青春と恋愛を瑞々しく描いた傑作小説。

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著者: 綿矢りさ

2002年に第15回三島由紀夫賞候補。2003年に第25回野間文芸新人賞の候補。2004年に同作品で第130回芥川龍之介賞受賞。2005年度早稲田大学小野梓記念賞を受賞。2008年、第26回京都府文化賞奨励賞を受賞。同年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1人に選出。2010年、第27回織田作之助賞大賞候補。2012年、第6回大江健三郎賞を受賞。同年、京都市芸術新人賞を受賞。

綿矢りさの本
2018.
10.26Fri

ひらいて

読むのが苦痛だった内側と表面がつながっていないと糾弾される主人公はそのままこの小説の歪さでもあるたとえば主人公の異常性を描写する手管が聖書とか折り鶴とかいった優等生くさくかつ調子外れのものでそれは確かに意図した通りの機能は果たしているようなのだけれども書いているものの異常性を作家がどこまで客観的に自覚しているのか怪しい文章にしてもいかにも文学でございといった引用やレトリックで無理に飾り立てている実際には登場人物の行動を示すだけで完全に機能するそれだけの力をこの物語は持っているもっと信用して無造作に放り出せば主人公の異常行動だけを淡々と記せばこの小説は傑作になり得たあたかも頭のよさだけが価値である優等生が必死に大人の関心をつなぎとめようとするかのように他人に評価されそうな言葉をよそからでたらめにかき集めてきたかのようだそうかと思えばごてごてと盛りつけた陳腐な文章にときおり唐突に天才の鋭さが覗きもするまるでホイップクリームに混入したガラス片だ十代のこころの軟らかな粘膜を傷つけるのが小説だとすればその瞬間この小説はまさしく小説となる結末だって悪くない関係性の危険な越境をあのように象徴的に描くのだって天才の仕事だと思う思うのだけれど⋯⋯なぜの自意識をそんなものが存在しない人間を書くのにおいてさえ書こうとするのかそれが日本文学の伝統だから従わねばならないとでも思い込んでいるのかそもそも自分というものが存在しない BPD境界性人格障害の主人公に対してひらいてというのも違う気がするひらくも何もあなたは何者でもないでしょうひらいてみせたところで何もないから持っている男女に嫉妬して破壊するそれがこの物語の主題であるはずなのに捉え方がずれている主人公が世界を捉え損ねた話のはずが作家が物語を捉え損ねている十代で恋愛をホラーとして描くのに成功した作家が大人になってその先をやろうとしてそれでどうしてこうなるのか才能からも実力からも書けたはずの傑作がこのように台なしにされるのを目の当たりにして落胆と怒りを禁じ得ないしかしあるいはそのような凡庸さを獲得したからこそこの作家は淘汰もされずヴェルヴェッツのパロディバンドなんかやらずに済んでいるのかもしれない。 「ニーズとかわかりやすさといったものはそのようなものなのだろう


(1975年6月18日 -)著者、出版者。喜劇的かつダークな作風で知られる。2010年から活動。2013年日本電子出版協会(JEPA)主催のセミナーにて「注目の『セルフ パブリッシング狂』10人」に選ばれる。2016年、総勢20名以上の協力を得てブラッシュアップした『悪魔とドライヴ』が話題となる。その後、筆名を改め現在に至る。最新作は『ぼっちの帝国』。独立出版レーベル「人格OverDrive」主宰。
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